パリを舞台にした小説
パリを舞台にした小説:二十世紀のパリ

『二十世紀のパリ』(ジュール・ヴェルヌ)
Paris au XXe Siecle

世界的に有名なSF作家による「幻の小説」

『二十世紀のパリ』

130年ぶりに発見された「幻の小説」

『二十世紀のパリ』は、フランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの小説。多くの空想小説を書き、『海底二万里』や『八十日間世界一周』は日本でも有名です。しかし『二十世紀のパリ』は日本ではほとんど知られていないのではないでしょうか。実は長い間小説の題名のみが知られているだけで、本国フランスでも「幻の小説」とされていました。しかし1991年にヴェルヌの遺族によって偶然その小説の草稿が発見され、世界的なニュースになりました。ヴェルヌはこの小説を1863年に執筆していましたが、知り合いの編集者が出版を拒否したため世に出ることはありませんでした。130年ぶりに陽の目を見たヴェルヌの作品ということで注目度は高く、フランスの老舗出版社であるアシェット社によって1994年に出版されました。この本はその日本語版です。

ヴェルヌが予言した未来のパリ

本書はタイトルの通り、二十世紀のパリを舞台にした小説です。といっても厳密には実在のパリを舞台にした小説ではなく、「未来のパリ」を舞台にしています(彼が小説を書いたのが19世紀なので、20世紀は当時で言うまだ見ぬ未来だったのです)。100年後を予言して書いた黙示録的なこの小説は、科学なくしては生活できなくなった私たちに疑問を投げかけます。

あったかもしれないパリのディストピア

物語は1963年のパリ。そこにはヴェルヌが科学の知識を元にして描いた空想のパリがあり、それは私たちにあったかもしれないもう一つのパリへといざないます。巨大な機械で動く銀行、圧縮空気で駆動する高架鉄道、効率重視の教育、科学を優先する代わりに打ち捨てられた芸術。科学万能で人間性を否定する社会は、たしかに少し荒唐無稽で、ディストピア小説ではありがちな設定です。しかし、今から160年も前にこのような科学の時代を想像していたヴェルヌの想像力に驚かされます。そこには今を生きる私たちが反省しなければならない生活が考えが含まれ、読み進みながらその世界が今とどこかでつながっているような気になってきます。そして主人公ミシェルが文学を愛する詩人というのがフランスならではのエッセンスでしょう。彼はテクノロジーが支配する驚異のパリを絶望の眼差しで彷徨い、自分の居場所を探そうとします。これはヴェルヌが私たちに残してくれた人間性への問いかけです。
パリを舞台にした小説
『二十世紀のパリ』 / Paris au XXe Siecle
著者:ジュール・ヴェルヌ(Jules Verne)
出版年:1994年
出版社:Hachette(パリ)

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