パリの観光スポット
パリ観光地:ブキニスト

ブキニスト
Bouquinistes

セーヌ川沿いにある土産屋兼古本屋   
パリ観光地:ブキニスト
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ブキニスト

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パリ観光地:ブキニスト
ブキニスト

世界遺産にも指定されたパリの風物詩

セーヌ河岸を歩いていると、川沿いの欄干に緑色の箱型の屋台が並んでいるのを見かけます。パリを旅行された方なら一度は見たことがあるおなじみのお店で、セーヌ川の風景の一部になっています。店では安価な古本やポスター、絵葉書、観光客向けのキーホルダーなどを売っており、夜に閉まりますが商品自体は緑色の箱の中に鍵をつけて入れられ、常に同じ場所に置かれています。これはブキニスト(Bouquinistes)と呼ばれる露店の古本屋で、名前の由来は「本」を意味するフランス語のブキャン(bouquin)から(一般的にはリーヴル(livre)を使うことが多いです)。ちなみにフランス語で「本好き」のことを ブキヌール(bouquineur / 男性名詞)、ブキヌーズ(bouquineuse / 女性名詞)といいます。 パリ観光地:ブキニスト
ブキニストとノートルダム寺院

ブキニストの歴史

ブキニストの歴史は古く、16世紀からパリで営業をしていました。15世紀中頃にグーテンベルクによって活版印刷が発明されると、多くの書物が出版されるようになりました。その結果、需要を上回る大量の本が印刷されるようになり、このような古本を扱うお店が生まれたようです。1606年にパリで初めての橋であるポンヌフが完成すると、石橋の上にブキニストたちが店を構えます(当時は手押し車で、商品は全て持ち帰っていました)。営業形態は古本屋でしたが、政治的な主張の強いパンフレットを密かに配布したりもしたことから、何度も市による取り締まりの対象になりました。それでも200年以上もの間、人通りの多いポン・ヌフ界隈でブキニストは営業を続けてきました。

しかし19世紀後半、オスマンのパリ改造によって橋の上の店はすべて撤去されます。強制的に退去させられたあと、グラン・ゾーギュスタン河岸にまとめられそうになったこともありました。それでもブキニストは生き残り、橋ではなくセーヌ川沿いで店を開くようになります。1859年には決められた場所での営業が正式に認められました。1891年には出店用の緑の箱を営業終了後も設置したままにしておける権利を獲得し、今の営業形態が始まりました。現在は世界遺産にも指定され、「パリの風物詩」としてパリの街に欠かせないものの一つになっています。

2024年パリ五輪で一時立ち退きを迫られたブキニスト

2024年に開催されるパリ五輪に合わせて、パリ警察がセーヌ河岸で営業しているブキニスト(約200軒)に対して、警備上・景観上の理由から一時的な立ち退きを要請しました(2023年7月)。しかし、ブキニストの8割以上が加盟するパリ古書組合はこれを拒否し、立ち退きをしないことを表明しました。古書組合のトップであるジェローム・カレーさんは「われわれはパリの重要な象徴だ。450年前からここにいる。五輪の祝典はパリの祝典であるべきなのに、われわれをその風景から消そうとするのはおかしな話だ」と話しました(AFP通信の記事より)。パリ市はブキニストをパリのアイデンティティを形成するものとして支援を表明しました。世界的なイベントの開会式を屋外で行う難しさはありますが、パリの風景を損なうことなく開催してもらいたいものです。 パリ観光地:ブキニスト
ブキニスト

ブキニストには農民出身者が多い?

ブキニストではたいてい一人の店主が屋台の近くで店番をしています。接客はほとんどせず、一日中お店の前で本を読んだりして過ごしています。ブキニストには農民出身の人が多いらしく、それはお客が来るのをひたすらじっと待つ忍耐強さが農業と共通することが理由かもしれません。またブキニストには出店料の徴収や収入課税も免除されており、パリ市によって営業が守られています。パリ観光の中心地にお店があるので常に観光客で賑わい、店の立地としてこれ以上の場所はありません。 パリ観光地:ブキニスト
ブキニスト

気になる緑の箱について

緑の箱はブリキ製。パリ市によって管理され、サイズや設置方法にも細かな規定があります。1930年に箱の規格が細かく定められ、長さ2メートル幅60センチになりました。またブキニストの箱は1953年以降から緑色に統一され、箱の一つ一つに番号が振られるようになりました。セーヌ左岸は奇数番号、セーヌ右岸は偶数番号になり、セーヌの流れとともに番号は大きくなっていきます。パリの番地表記と同じですね。ちなみにブキニストになるにはパリ市による認可が必要で、かなりの高倍率だそうです。 パリ観光地:ブキニスト
ブキニスト

ブキニストでは何を売っている?

もともとは純粋に古本や雑誌を売るお店でした。ブキニストという言葉自体「価値のない本」を意味する古代フラマン語のボエカンから派生した言葉です。しかし現在では観光客向けの商品が多く、パリ写真、ポスター、ファッション誌、風景画、ポストカード、マグネット、キーホルダー、エッフェル塔関連のグッズなど、古本以外のラインナップが増えています。フランスの古本だけでは営業していけないということでしょう。これも国際的な観光都市パリの時代の流れですね。観光の中心地にあり、観光客に人気のお店ですが、ブキニストで売られている古本は観光客向けの値段設定。相場からしてお得な買い物とは言えませんが、このような観光地価格は万国共通。実際に古本を買いたいという方は、パリにある普通の古本屋に出かけた方が値段は断然安くて種類も多いのが実情です。

ブキニストはセーヌのどこで見られる?

セーヌ河岸にあるブキニストですが、セーヌ河沿いに延々とあるわけではありません。右岸側はポン・マリー(Pont Marie)からルーブル河岸(Quai du Louvre)まで、左岸側はトゥルネル河岸(Quai de la Tournelle)からヴォルテール河岸(Quai Voltaire)まであります。有名なのはシテ島に面したサン=ミッシェル河岸のブキニストです。パリ市内には現在約1000のブキニストが営業していて、多くの散歩者や観光客、古本好きな人々を惹きつけています。パリのセーヌ河岸は世界でも珍しい「川の本棚」なのです
パリ観光基本情報
ブキニスト / Bouquinistes
パリの観光地
エリア:セーヌ川周辺
カテゴリ:パリの観光スポット
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