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パリジェンヌはどんな部屋に住んでいる?
パリジェンヌは日ごろどんな部屋で生活しているのでしょう。パリジェンヌの多くは共同住宅、つまりアパルトマンで暮らしています。パリジェンヌのアパルトマンについて一つの答えはありません。当り前ですが、それぞれの部屋は全て違うからです。100人のパリジェンヌがいれば、100部屋のアパルトマンがあり、ひとくくりにまとめることはできません。それこそ個性的なパリジェンヌらしさの表れだと思います。ただパリジェンヌの部屋にいくつかの共通点を見つけることはできるかもしれません。そして日本のアパートとの違いも見つけることは可能です。そのようなパリジェンヌの住まいの共通点や日本の住居との違いから、パリジェンヌのアパルトマンをご案内したいと思います。
(1)本棚が充実している
パリジェンヌには本が大好きな人が多いです。フランス人が子供の頃から文学に親しみ、大人になっても日常の中で読書を続けています。それは自分の意見をしっかりと持つためでもあるでしょう。個性を大事にするフランスにとって、読書は自分の世界や考えを持つための大事なもの。日本のようにベストセラーを追うだけではなく、自分だけの好きな作家を見つけ、気張らない自分のスタイルで本を読んでいます。フランス映画でもベッドの上で読書をするパリジェンヌの姿をよく見かけますし、ほとんどのパリジェンヌは自分だけの本棚を持っています。
本棚の存在は自分が一番リラックスでき、好きな世界に浸れるための場所なのかもしれません。そのため、パリジェンヌの本棚を見れば彼女がどんな世界を愛しているかが分かります。本はその人を映す鏡といってもよいと思います。パリジェンヌの本棚は、訪れたお客さんに自分の世界をそっと教えるための静かな主張なのです。
(2)鮮やかな色使い
パリジェンヌのアパルトマンの共通点の1つに鮮やかな色使いがあります。パリジェンヌは黒系の服装をしていることが多いですが、家の中は驚くほど鮮やかな色で統一されていることもあります。パリのアパルトマンは漆喰の白い壁がほとんどですので、ビビッドな青や赤などの原色がとても映えます。それに鮮やかな色は人間の視覚にも刺激を与え、気持ちをリフレッシュさせたり、様々なアイディアをもたらしてくれることも多いです。鮮やかな色使いは生活をより充実させるためのものでもあるんですね。
(3)明るいリビング
パリのアパルトマンは窓が大きいことも特徴の一つ。そのため南向きの部屋は明るい日差しがたくさん入り、日中は電気をつけなくてもとても明るいです。特に陰鬱になりがちな暗い冬の間は短時間しか顔を出さない太陽の光を通してくれる窓はパリジャン・パリジェンヌにとって大切なものです。そのためフランス人は日光浴が好きで、部屋探しでも南向きの日当たりのいい部屋が人気。パリジェンヌも明るい部屋をリビングにして、アパルトマンに入る日差しを楽しんでいます。
(4)人気の暖炉
昔のパリのアパルトマンは暖炉がありました。実際に薪を買ってきて、暖をとっていました。現在ではエアコンになり、暖炉を使う家庭はほとんどありませんが、レトロで高級なイメージとして暖炉付きのアパルトマンは今も人気です。実際には使うことのできない暖炉がほとんどのようですが、インテリアとして暖炉の存在はあるだけで温かな空間を演出することができます。暖炉の上に写真立てや小物を置いたりして飾るのもいいですね。
(5)あえて古いものを置く
パリジェンヌのアパルトマンには年代物の家具が置いてあることが多いです。パリジェンヌはアンティークが大好きで、祖父母の使っていた小物や家具を使ったり、蚤の市に出かけて掘り出し物を探してきて家のインテリアとして使っています。日本でもレトロなものが流行っていますが、パリのレトロは本格的。どれも本当のアンティークで、その本物の重厚感がパリの白いアパルトマンと調和しています。古い家具をうまく配置するところもパリジェンヌのアパルトマンの特徴かもしれません。
(6)窓からの風景
部屋の窓から見える風景もパリジェンヌのアパルトマンの重要な要素です。どんなに素晴らしい部屋でも窓の外の解放感がなければ息苦しい生活になってしまうかもしれません。立地や部屋の広さと同じくらい、窓から見える風景もアパルトマンを決める大事なポイントになっています。日本でもやはり眺めのいい部屋は人気です。特に高級地区ではないモンマルトル周辺のアパルトマンが人気なのは、下町の雰囲気だけではなく丘の上からの見晴らしがいいことが理由かもしれません。パリで一番眺めのいいアパルトマンはモンマルトルの西のメニルモンタンにあります(1番というのは多少の語弊がありますが)。朝起きた時に窓を開けてパリの美しい街並みが見えたら、それだけでその1日には幸せなものになりそうですね。
(7)トイレにもこだわりが
パリジェンヌのアパルトマンはトイレも個性的なところが多いです。トイレの内装はほとんど変わりませんが、ポスターや小物などで自分の好きな世界観を演出しています。好きな映画のポスターを貼ったりするところは日本でもありそうですが、作家のポスターまで貼るところは読書好きなパリジェンヌの特徴がよく表れています。トイレの中でも自分だけの世界に浸っていたい。そんな思いが部屋の細部のインテリアにこだわる理由かもしれません。
(8)築100年以上のアパルトマンも
パリのアパルトマンはどれも建物が古いです。現在のパリの街並みの大半は100年以上前の19世紀後半にできあがりましたが、今でもその当時から建っている建物がほとんどです(それでもパリのさらに古い建物から見れば新しい建築になります)。そのためほとんどのアパルトマンの外観はとても古く時代を感じさせます。けれど、建物の中に入ってらせん階段を上りドアを開ければ、そこには驚くほど現代的で住みやすい部屋が隠れているのです。古い時代の建物を大切にしながら、そこに自分だけの快適な世界を作っていく。それこそがパリのアパルトマン最大の魅力かもしれません。内装の一部を変えるブリコラージュ(DIY)はフランス人に人気です。古いものを大事にしつつ、そこに自分のエッセンスを加えていくのはパリジェンヌの特徴の一つともいえますね。外からでは分からないパリジェンヌの世界。パリでお部屋に招待されたら是非出かけてみてください。