パリの文化・歴史
パリの文化・社会・歴史:パリのメリーゴーランド(マネージュ)

パリのメリーゴーランド

ノスタルジックな時を紡ぎだす、パリで生まれた夢見装置   
パリの文化・社会・歴史:パリのメリーゴーランド
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パリの文化・社会・歴史:パリのメリーゴーランド

パリのメリーゴーランド

パリの文化・社会・歴史:パリのメリーゴーランド(マネージュ)
メリーゴーランド(トロカデロ広場)

パリっ子が大好き!レトロな夢見装置

パリを歩いていると、広場や公園でメリーゴーランドを見かけます。レトロな色合いで懐かしさに立ち止まり、ついその木馬に見入ってしまいます。馬たちが現れては消えていくその回転運動は、なんだか美しく物悲しい。昔から変わらないパリの街並みにとても馴染んだ遊具です。遊び場が少ないパリの子供にとって、メリーゴーランドは気軽に夢見心地にさせてくれる貴重な存在。子供の頃この回転木馬で遊んだ人は、今度は自分の子供を連れて再びメリーゴーランドに戻り、幼き日々のノスタルジーに浸ります。
しかし、そもそもメリーゴーランドとは何なのでしょうか。その歴史はフランスから始まりました。

メリーゴーランドの歴史

最初は中世の騎兵たちのものだった

メリーゴーランドは日本でもおなじみの遊具ですが、実はフランスで発明された遊具です。フランス語ではカルーゼル(carrousel)もしくはマネージュ(manege)と呼ばれています。円形の調馬場をフランス語ではマネージュと言い、その連想からマネージュがそのまま名前になったと言われています。
メリーゴーランドはもともと中世のフランス軍隊で騎兵の訓練用に作られたのが始まりでした。それが遊具としたのは城に住む貴族たちで、ジュ・ドゥ・バーグ(Jeu de bagues)という気軽な鉄輪遊びとして発展していきました(マリー・アントワネットもヴェルサイユ宮殿にマネージュを設置して楽しんだという逸話が残っています)。19世紀には移動遊園地などのお祭りの遊具として取り入れられ、フランスの子供に定番の遊具となりました。当時は馬が貴族か軍人しか乗れない特別な動物だったため、乗馬に憧れる大人が正装してメリーゴーランドを楽しんだそうです。そして現在、パリの様々な場所で、私たちはこのレトロな夢見装置を体験することができます。

騎手たちの気晴らしだった鉄輪遊び

ジュ・ドゥ・バーグと呼ばれる鉄輪遊びから発展したメリーゴーランドですが、今でもその遊びを体験することができます。メリーゴーランドに入場すると係の人が細い鉄の棒を渡してくれます。回転する木馬に乗りながら、その鉄の棒を使って吊るされた鉄の輪を取ります。輪を取るともう一回無料で乗れるため、子供たちは必死になって輪を取ろうとします。これが昔の騎手がしていた鉄輪遊びの名残です。元々はフランスの騎手が円形の馬場で周遊するときにこの遊びをしていたらしく、それが徐々に形を変えていき現在のメリーゴーランドのゲームになったそうです。騎馬の周遊運動が、メリーゴーランドの回転運動の原型だったんですね。

蒸気機関から生まれた回転装置

鉄輪遊びは騎手たちの遊びからきたものでしたが、現在の回転木馬の動力装置自体はどのようにして生まれたのでしょう。蒸気機関の誕生以前、あらゆる動力のほとんどは馬に頼っていました。18世紀、馬を周回させて回転動力を得る炭坑用の装置が発明され、マネージュ(円形調馬場)と呼ばれていました。しかし1860年代に入って蒸気機関の時代が来ると、この装置は次第に使われなくなりました。不要となったその装置に馬の代わりに木馬をつけて蒸気機関で回転させれば遊具になると考えた玩具商人がいました。それがメリーゴーランドの動力装置の原型となったようです。

この動力装置と鉄輪遊びが徐々に融合して、いまのメリーゴーランドへと進化していきました。フランス生まれのメリーゴーランドはその後アメリカにわたり、カルーゼル(騎馬パレードの意味)という名前で親しまれ、世界的に知られるようになりました。そしてアメリカ、ヨーロッパの様々な場所でメリーゴーランドが作られるようになったのです。
パリの文化・社会・歴史:パリのメリーゴーランド(マネージュ)
メリーゴーランド(トロカデロ広場)

パリで人気の5つのメリーゴーランド

現在メリーゴーランドはパリ市内の様々なところにありますが、人気の場所を5つご案内します。パリ市庁舎前にあるメリーゴーランドはクラシカルなスタイルのもの。夜にはライトアップされ、観光客に人気です(不定期の設置です)。トロカデロ広場のメリーゴーランドは2階建ての豪華なもの。イエナ橋の袂にあるため、エッフェル塔を背景に撮影できるところも人気です。現存する最古のメリーゴーラウンドはリュクサンブール公園にあるもの。古い木製のメリーゴーランドで、1879年以来そこに置かれています。動物のデザインはオペラ座を設計したシャルル・ガルニエです。チュイルリー公園にあるメリーゴーランドは常設設置で、一年を通して楽しむことができます。パリ植物園にあるメリーゴーランドは他にはないユニークなもので、馬ではなく絶滅危惧種の人形が回転しています。この植物園は国立自然博物館に所属していて、生物多様性の大切さを伝えるためにこのメリーゴーランドを設置しています。

100年以上前のメリーゴーランドに乗れる博物館

メリーゴーランドに興味を持った人にオススメなのがル・ミュゼ・デザール・フォラン(Le Musee des arts forains)。パリ12区にある昔の遊具を展示する博物館で、見るだけでなく実際に乗ったりできるところが魅力。薄暗い館内に19世紀や20世紀のレトロな遊具が浮かび上がり、来場者はまるでタイムスリップしたかのような感覚をもつことができます。100年以上前の1900年代に製造されたメリーゴーランドも保管してあり、乗ることも可能です。ここに展示されている貴重な遊具は、俳優・演出家でありアンティーク商人であったジャン・ポール・ファヴァン氏のコレクション。来場者には子供より大人が多いそうです。大人を子供に戻すノスタルジックな魅力がある博物館へ出かけてみませんか?

日本にやってきたメリーゴーランド
ちなみにメリーゴーランドは日本とも深い縁があります。フランスで生まれたメリーゴーランドですが、その改良版がヨーロッパ各国で作られました。発明から約10年後の1870年頃にはイギリスのフレデリック・サベッジ(Frederick Savage)が蒸気機関によって円盤を回転させる仕組みを作ります。彼は木馬を上下させる装置の特許も取得し、徐々に今の優雅な形になっていきました。1897年には自転車のメリーゴーランドがベルギーで製作されました。20世紀初頭の1910年代にはドイツでメリーゴーランドの最高傑作が作られ黄金時代を迎えます。これは当時の最新技術を全て注ぎ込んで制作されたもので、アメリカに渡って60年を過ごした後、1970年代の始めに日本へやってきました。このメリーゴーランドは日本に残る最古の遊戯機械です。今も東京の豊島園で現役として営業しており、2010年には機械遺産に認定されました。

パリ観光基本情報
ル・ミュゼ・デザール・フォラン / Le Musee des arts forains
パリの博物館
住所:53 Avenue des Terroirs de France, 75012 Paris
最寄メトロ:14番線Cour St-Emilion
料金:大人16ユーロ、小人(11歳まで)6ユーロ、4歳未満は無料
カテゴリ:パリの観光スポット
 
※ツアーは事前予約が必要(Webサイトから予約可能)
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