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パリ観光地:フィリップ・オーギュストの城壁

フィリップ・オーギュストの城壁
Wall of Philippe Auguste

中世のフランス国王によって造られたパリ最初の城壁   
パリ観光地:フィリップ・オーギュストの城壁
パリ観光地:フィリップ・オーギュストの城壁

フィリップ・オーギュストの城壁

パリ最初の城壁

マレ地区のギャラリーが集まるヴィラージュ・サンポール辺りを歩いていると、不意に古いお城のような壁が現れます。これは12世紀に造られたパリの城壁跡。1180年に即位したカペー王朝のフィリップ2世(尊厳王)は、イギリス軍の侵入からパリを守るために1180年から1210年にかけて堅牢な城壁を作りました。これがパリで初めて造られた「フィリップ・オーギュストの城壁」です。全長540メートル、高さ10メートル、幅3メートルの頑丈なもので、見張り塔が60メートルごとに置かれていたと言われています。当時のパリはシテ島を中心にした小さな城壁都市でした。ルーヴル美術館の元になった要塞も、最初はこの城壁の一部でした。フィリップ・オーギュストの城壁はパリのいくつかの場所に今も残っています。

城壁の西端にはルーヴルがあった
当時城壁をめぐらした際に、城壁の東と西の端に城塞が建てられました。そのひとつが西にあったルーヴル城塞で、現在有名なルーヴル美術館になっています。つまり中世のパリでルーヴルは西の端だったことになります。セーヌ川を挟んでルーヴル城塞の対岸にはネールの塔があり、この2つの砦が中世パリにおける西の防御施設となっていました。城壁跡はルーヴル美術館の中にも残っています。「ルーヴル宮の歴史展示館」を見てからシュリー棟の地下に下りると、そこには当時の城塞の様子が分かる壁や主塔が残っています。

マレ地区の高校に残る城壁

マレ地区にある城壁は現在リセ・シャルルマーニュという高校の一部になっています。ここはかつてのイエズス会修道院で、その中庭に聖ルイの礼賛を描いた似非円天井をいただく階段室(cage d'escalier)があります。1946年にたまたま発見されたこの中世の城壁は、造りが頑丈なため700年以上もの間民家の壁の中に眠っていました。しかも2つの半円形の見張り塔も当時のまま残されており、パリに残る城壁跡の中でも最大のものです(見張り塔が完全な形で残されているのはここだけ)。またこの塔には「サン=ポールの隠し戸」と呼ばれた場所があり、馬上槍試合でフランス国王アンリ2世を殺してしまったモンゴメリーが幽閉されていました。

非業の死を遂げたアンリ2世
1559年、国王アンリ2世は娘イザボーとスペイン国王の婚礼をトゥルネル宮(今のヴォージュ広場)で祝いました。その際に馬上槍試合が行われ、参加した王は相手の槍が目に当たり命を落とします。試合の相手であったモンゴメリーはベネチアに隠遁。彼の父親だったロルジュは苦悩の末に絶命してしまいます。国王の突然の死は、フランス史に残る悲劇でした。モンゴメリーが一時期幽閉されていたのがマレ地区に残るフィリップ・オーギュストの城壁の塔にあった「サン=ポールの隠し戸」でした。

穴場の城壁公園

もっと間近で城壁を見たい方はジョセフ・ミニュレ公園(Jardin des Rosiers-Joseph-Migneret)に行くことをおすすめします。第二次世界大戦時にナチスから子供を救ったユダヤ学校の校長先生の名前が冠されたマレ地区の公園です。ここにもフィリップ・オーギュストの城壁が残り、とても間近で城壁の様子を見ることができます。とても静かな公園で、地元の人がサンドイッチを食べながら休憩したりしています。園内にはクーランジュ邸というセヴィニエ夫人が幼少期に住んだ館も残っています。面白いのはパリ市が貸し出している菜園もあること。パリの中心部で家庭菜園ができるのはとても貴重な体験といえます。マレ地区の散策に疲れたら是非この公園を訪れてみてください。ユダヤのファーストフードともいえるファラフェルをテイクアウトして食べながら公園で休憩するのもおすすめです。 パリ観光地:フィリップ・オーギュストの城壁
フィリップ・オーギュストの城壁(カルチェラタン)

カルチェラタンに残るパリの城壁

パリ左岸のカルチェラタンにもフィリップ・オーギュストの城壁が残っています。フランク王国初代の王の名を冠したクロヴィス通りを歩いてると、不意にむき出しの城壁の一部が現れます。住宅街の中に突然現れた中世の姿にきっと驚くかもしれません。一時は住宅建築のために壊される予定でしたが、パリ市の決断によって残されることになりました。そのため、今でもパリの歴史の一部をこの目で見ることができる貴重な場所になっています。

マニアックな城壁を見つける

フィリップ・オーギュストの城壁は他にもあります。ルーヴル通り13番地には城壁が切り取られた跡があり、国立古文書館には城壁の塔が残っています。パリ左岸サンジェルマン・デ・プレ地区にある小さな石畳の通りクール・デュ・コメルス・サン=タンドレ(Cour du Commerce Saint-Andre)にあるサロン・ド・テ「アン・ディマンシュ・ア・パリ」(Un Dimanche a Paris)の店内には塔があり、マザリーヌ通り(Rue Mazarine)の地下駐車場には城壁が残っています。お店の中や駐車場などの商業施設にも中世の城壁をそのまま残すのは昔の文化を大事にするフランスならではです。他にもパサージュ・ドフィーヌにある語学学校の壁が城壁として使われています。次回のパリでは城壁の痕跡を探して、中世のパリに出かけてみてはいかがでしょうか。

フィリップ・オーギュスト(フィリップ2世、フィリップ尊厳王)
ルイ7世の子供で、1180年に即位したカペー朝の国王。ノルマンディや南仏まで領土を拡大し、フランス封建王政の基礎を作りました。またイングランド王家との戦いに勝利し、フランス領土を取り戻したことでも知られています。パリに関する事業では、パリの道路の舗装、城壁の造営、ノートル・ダム大聖堂の建設(継続)、パリ大学創設への協力を行い、パリの美化と防衛に力を入れました。フランス最初の偉大な王として尊厳王(オーギュスト)と呼ばれています。

パリ観光基本情報
フィリップ・オーギュストの城壁 / Wall of Philippe Auguste
パリの観光地
住所:rue des Jardins-Saint-Paul 75004 Paris / Jardin des Rosiers-Joseph-Migneret 75004 Paris
最寄メトロ:Saint-Paul(サン・ポール)
エリア:マレ地区
カテゴリ:パリの観光スポット
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