パリの文化・歴史
パリの文化・社会・歴史:緑地化するパリ

緑地化するパリ

石の街から緑の街へ。パリでは持続可能な未来に向けての環境に配慮した都市計画が進んでいます。   
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ

緑地化するパリ

パリの文化・社会・歴史:シャンゼリゼ通り
パリの並木道(シャンゼリゼ通り)

パリは歩行者に優しくない街?

パリは世界有数の美しい街として知られています。パリ市内には緑豊かな公園があり、並木道にはマロニエの木が植えられ、石造りのアパルトマンと緑の木々で構成された風景はパリの見どころの一つです。このように東京と比べると緑が多いイメージがありますが、それでもやはりパリは石の街であり、他のヨーロッパ都市と比べると緑豊かな街とはいえません。パリの東西にはヴァンセンヌの森ブーローニュの森があり、「パリの肺」とも呼ばれる広大な緑地もたしかに存在します。ただパリの両端にある公園を除いては、空気のいい場所が少ないことは事実です。人口の過密化や面積が少ないことも緑地面積が少ない原因の一つで、パリ市民一人当たりの平均的な緑地面積は他のヨーロッパ諸都市(ロンドン、ローマ、アムステルダム、マドリッド、ウィーンなど)と比べても極端に少ないという結果も出ています。しかも最近では車の渋滞が大きな問題となっています。オスマンによって大通りが整備された花の都パリは、今ではその広い道路ゆえに車中心の社会になってしまったのです。緑が少なく歩行者にとって快適ではないというのが、現在のパリが抱える課題になっています。 パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
緑地化されたエリア(セーヌ河岸)

パリ市長による大胆な計画

そのような負のイメージを覆すために、パリでは現在緑地化構想が急速に進んでいます。パリ市長アンヌ・イダルゴの主導によりパリは環境に配慮された緑の街に変化しようとしています。"Paris Respire"(呼吸するパリ)を都市計画のテーマとして、車社会のパリをクリーンな空気に変えることを目標にしています。またイダルゴは自転車で15分で誰もが必要な場所に行ける「15分シティ」の提唱者としても知られ、2014年にパリ市長に就任して以来、パリを緑豊かな街にするための大胆な都市計画を打ち出してきました。 パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
緑地化されたエリア(セーヌ河岸)

パリに増える「都市の森」

彼女の施策を一言で言えば「パリを緑でいっぱいの都市に」です。緑地化計画の公約として、パリ市庁舎やオペラ・ガルニエ(オペラ座)などの緑化があります。パリの主要観光地の広場に木を植樹することで、パリ市内に都市の森(アーバン・フォレスト)を増やしていく計画です。他にもパリ12区と15区に新たな公園を造る構想も進んでいます。

セーヌ河岸が小さな森に
パリの緑地化の一例としてセーヌ河岸の例をご紹介します。セーヌ河岸の道路の一部が緑地化(植物化)され、生態系にとって住みやすいスペースに変化していっています。イルドフランスの河岸に共通する生命力の強い植物を迎え入れることで、一部のセーヌ河岸では地域の動物相と植物相にとって必要不可欠な陸地と水辺との関係を構築しています。そこでは多くの種類の動植物に生息地と食事を提供しています。

パリの文化・社会・歴史:パリの自転車
パリのレンタルサイクル

車をなくし自転車を増やす

またイダルゴは緑地化計画と並行して、パリを自転車優先の街にする構想も明らかにしています。その柱となるのが「パリ100%サイクリング計画」(2021〜2026)で、コロナ禍に生まれた約50kmの自転車専用道路「コロナピスト」の恒久化や130kmの自転車道路の新設、13万台分の駐輪スペースの新設、パリ五輪によるスポーツサイクリングの推進などが含まれています。また2024年にはパリ市内でのディーゼル車の通行が禁止され、2030年までにはガソリン車の通行も禁止になる予定です。毎月第一日曜日に開催されるノー・カー・デイ(自動車禁止の日)も彼女の施策の一つです。当然自動車の利用者やタクシー会社からの反対も起きましたが、新型コロナウイルスの流行が彼女の施策を後押ししました。在宅勤務が増え車の交通量が激減したことで、パリ市内を快適に移動できると誰もが実感するようになったのです。通勤に公共交通機関を使っていた人々がこれを機会に自転車に乗るようにもなりました。パリの自転車 はこれからも進化し続け、パリジャンの生活をより良いものに変えていくと考えられています。 パリの文化・社会・歴史:緑化するパリ
緑地化されたエリア(セーヌ河岸)

空気がきれいで快適な都市へ

イダルゴが掲げる「緑豊かな街」と「自転車優先の街」という2つの施策は大きな一つの目標につながっています。それはパリを「空気がきれいで快適に歩ける街」にすること。街中に木々を増やすことと排気ガス規制を進めて車より自転車の利用を促すことは大都市にとって難しい施策ですが、世界的に環境問題が重要視されている現在では避けられない課題です。21世紀の観光地はただ有名なスポットがあるだけではなく、快適に過ごせる空間作りが大事になってきます。居住者と来訪者にとって過ごしやすい観光都市になるためにパリは進化しているのだと思います。

エッフェル塔も緑化
オリンピックの開催に向けて、パリ市内に最大の公園が誕生します。"OnE"と呼ばれる大型の緑化プロジェクトでは、歴史あるパリの景色をより価値あるものとして伝えるための緑化に取り組んでいます。パリの歴史的景観を尊重しながら、生物多様性に配慮した持続可能な整備を行いながら、地元の人も観光客も快適に過ごせる緑地を作っていきます。

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