スクエア・モンスリ
緑の多い一軒家の通り
パリ南部にある
モンスリ公園の西側を歩いていると、パリでは珍しい一軒家の多い通りがあります。まるで私有地のようなひっそりとした通りの先は緑に覆われ、田舎の道に来たような気になります。ここはスクエア・モンスリという200メートルほどの短い石畳の通りで、緩やかな坂道になっています。道の両脇に並ぶ一軒家はどれも個性的で美しく、中にはアルザス地方にあるような木組みの家もあります。この一帯はかつて関税吏を職業とする人々が住んでいた場所とされ、近くにはパリの城壁がありました。彼らはパリ城内に入る商人に対して税をとり、利益を得ていました。そのため、裕福な関税吏たちがここに住居を構えたといわれています。観光客は少ないですが、郊外から通りの建築を見に来るフランス人が多いそうです。
スクエア・モンスリにあるル・コルビュジエの建築
コルビュジエの建築が多く残る
スクエア・モンスリは、大戦間の1920年代から1930年代に私有地として造られ、1959年より一般道として開かれました。2つの大戦間に建てられた建物が多いため、アール・ヌーヴォーやアール・デコ様式の建築物がたくさん残っています。スクエア・モンスリ2番地には1923年に作られたペレ兄弟の家があり、その後ル・コルビュジエに託されました。51番地には1922年から23年にかけてル・コルビュジエによって作られたアメデエ・オザンファンのアトリエがあり、その建物は今も残っています(写真)。パリで活躍した日本人画家である藤田嗣治もこのスクエア・モンスリに住んでいました。静かで美しい建築の残る穴場の通り。モンスリ公園に来たついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。