モンスリ公園
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人工なのに自然豊か!郊外に来た気分を味わえる公園
パリの観光地の喧騒に疲れた方は、最後には公園にたどり着くはずです。その中でも今回は、観光客の少ない穴場の公園をご紹介します。モンスリ公園はパリ南部14区にある公園。15.4ヘクタールもある大きな敷地と起伏のある丘が特徴です。Montsourisとはフランス語で「ネズミの丘」を意味し、かつてパリに存在したビエーブル川の風車小屋に沿って繁殖したネズミに由来しています。パリの中心部から離れた郊外との境界に接しているため観光客はなかなか訪れないエリアですが、その分地元の人に交じって穏やかなパリの一日を過ごせるはずです。世界中の学生が集まる国際大学都市(Cite Universitaire)の前にあり、大学都市の散策と合わせて訪れるのもいいですね。園内には人工池や人工滝の他、様々な彫刻、廃線、コンサートの開かれる音楽のキオスク、「しゃべるベンチ」などがあり、訪れる人々を楽しませています。パリでは珍しくトイレが綺麗なのも嬉しい。近くにはスクエア・モンスリという美しい一軒家が並ぶ小径もあります。緑豊かなモンスリ公園を散策してみませんか?ナポレオン三世の祈願が実現
モンスリ公園ができたのは19世紀後半。普仏戦争で一時中断されながらも1875年に完成しました。この公園の発案者は当時の国王だったナポレオン三世。彼は緑地スペースをパリの東西南北に配置したいと考えていて、その南の緑地としてモンスリ公園の造園を行いました(北:ビュット・ショーモン公園、西:ブーローニュの森、東:ヴァンセンヌの森)。またパリをロンドンのような美しい街にして新鮮な空気をパリ中心部に送り込みたいという強い思いがあり、ロンドンをモデルにこの公園を作らせたそうです。時はオスマン男爵によるパリ改造(Grands travaux haussmanniens)の時代。その都市計画の一環として、Alphan技師の元で設計されました。パリの気温はここで生まれる?
この公園には他の公園にはないパリ唯一のものが存在します。それはパリ最古の気象観測所(Station Meteologique)。パリを空気の綺麗な街にしたいというナポレオン三世の願いが通じたのか、この公園にはパリの気象データを計測する気象観測所が置かれています。テレビで毎日報道されるパリの気温や天気はこの観測所のデータを元にしており、100年以上経った今も計測を続けています。アニエス・ヴァルダの名作が撮影された
モンスリ公園はフランス映画が好きな方にとっては、是非訪れてほしい場所。ヌーヴェル・ヴァーグを代表する女性監督アニエス・ヴァルダの『5時から7時までのクレオ』(1962)の後半で、この公園が登場します。死の不安を感じながらパリを彷徨う主人公クレオは、友人と別れた後にタクシーでモンスリ公園を訪れます。公園の中にある滝を見ているとき、ひとりの帰還兵アントワーヌと出会います。ベンチで会話をするシーンや2人が市バスを追いかけるシーンなど、今も映画の中と同じ風景が残っています。公園でとれたハチミツが食べられる
モンスリ公園には養蜂箱(ruche)が設置され、ミツバチを育てています(リュクサンブール公園にもありますね)。ここでとれた新鮮なハチミツは公園内にあるレストランで食べることができるそうです。園内には安価な軽食堂La Bonbonniereと「緑のネズミ」という名のレストランUne Souris Verte、サルトルとボーヴォワールも通ったといわれる高級レストランPavillon Montsourisの3つのレストランがあり、これらのお店で出されるクレープにモンスリ公園産のハチミツをトッピングすることができます。ハチミツが好きな方は是非試してみてください。無料の炭酸水が飲める
モンスリー公園の中には無料で炭酸水が飲める場所があり、水筒(もしくは空のペットボトル)を持っていけば誰でも炭酸水をもらうことができます。これはパリ市が提供する無料の炭酸水供給所の一つで、パリ市内に全部で13あります。公園散策の際の水分補給に最適ですし、誰もが飲める炭酸水は平等の国フランスの精神を感じることができます(炭酸は抜けやすいので、短時間で飲み終えられる量を汲むことをおすすめします)。かつて採石場が美しい緑地に変身。園内には駅や鉄道の廃線も
元々モンスリ公園は石切り場(採石場)の跡で、植物の育たない土地でした。またイノサンの墓地閉鎖後には代わりに遺体の埋葬場にもなっていたそうです。採石跡に造られた公園としては、パリ右岸の19区にビュット・ショーモン公園があり、こちらも起伏のある丘の公園です。そしてもう一つ、モンスリ公園にはビュット・ショーモン公園との共通点があります。それは廃線が残っていること。園内には1934年に廃止になったパリ環状線(プティット・サンチュール)の廃線跡が残っています。また公園には鉄道の駅(RER B線のシテ・ユニベルセール駅)があり、こちらは現役の電車が走っています。産業革命の象徴である鉄道が公園の中央を走っているのも偶然ではなく、その時代の力強い空気を感じさせてくれます。公園内の橋の上から、列車が走るのをゆっくり見ることができますので、鉄道好きな人にもモンスリ公園はおすすめです。メトロの登場で消えたパリ環状線
パリ環状線は、19世紀から20世紀まではパリの主要な交通手段として貨物と人とを運んでいました。しかし1900年にメトロが完成してからは乗る人も減り、次第に貨物専用となって、20世紀半ばには全てが廃線となりました(今は現代的なトラムがパリの周囲を走っています)。
郊外の旅行気分を味わせてくれる自然公園
19世紀の鉄道の普及とともにパリジャンに人気となったのが旅行です。当時、パリは空前の旅行ブーム。ただ実際に旅に出かけられたのはお金に余裕がある人に限られました。そのため、モンスリ公園では、誰もが旅行気分を味わえるように自然豊かな情景を園内に配し、まるで旅先にいるような気分で公園を散策してもらえるようになっています。起伏の豊かな丘や滝、池など、自然を模した風景は癒されること間違いなしです。パリ郊外の大自然にやってきた気分で歩いてみませんか?- パリ観光基本情報
- モンスリ公園 / Parc Montsouris
- パリの観光地
- オープン(完成):1875年
- 住所:2 Rue Gazan, 75014 Paris, フランス
- 最寄メトロ:Cite Universitaire(シテ・ユニベルシテ駅/RER B線)
- エリア:パリ14区
- カテゴリ:パリの観光スポット
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モンスリ公園へのアクセス(地図)
モンスリ公園へのアクセス(地図)