パリの観光スポット
パリ観光地:ポルト・ドフィーヌ駅

ポルト・ドフィーヌ駅
Porte Dauphine(Station de Metro par Hector Guimard)

パリに残るアール・ヌーヴォーの傑作   

ポルト・ドフィーヌ駅(ギマール建築のオリジナル)

最終更新日:

アール・ヌーヴォーの優雅な入り口

パリに行くと必ず見かけるものの一つがメトロ(地下鉄)の入り口。東京の地下鉄の入り口はどれも同じようなデザインですが、パリのメトロのデザインは非常に多様です。その中でも一度見たら忘れられないのがアール・ヌーヴォー(Art Nouveau)の代表的建築家エクトール・ギマールによってデザインされた入り口。昆虫のようなライトと植物の蔓(つる)が流れるように絡まったような不可思議なデザインに初めて見た人は驚くかもしれません。鉄製なのに柔らかな液体が伸びたような優雅な外観はパリのメトロのシンボルにもなっています。

ポルト・ドフィーヌ駅に残る貴重なオリジナル

しかし今あるギマールデザインのメトロ入り口の大部分が複製で、オリジナルはほとんど残されていません。というのも、当初はこのメトロ装飾が時代遅れだと酷評され、ほとんどが取り壊されてしまったからです。しかし、運よく破壊を逃れたオリジナルが残っています。パリ16区にあるポルト・ドフィーヌ駅(Porte Dauphine)の入口です。メトロ2番線の終着駅で、駅を出るとすぐブーローニュの森があります。ガラスの庇を放射状に広げたような外観が特徴で、パリで最も美しい駅の一つです。まるで幻想世界の巨大昆虫が羽を広げたようでもあり、本物のアール・ヌーヴォー建築として一見の価値があります。入り口から昇降口に入ってすぐの壁にも美しい内装が施されていて、まさに想像力豊かだった時代のパリを今に伝えています。

きっかけはパリ万博
パリ万博が開催された1900年から1913年にかけて、パリ市の依頼によってエクトール・ギマールは140のメトロ駅をデザインしました。オリジナルの痕跡を残しているのはそのうちの87駅で、保存状態が良いのは2号線のポルト・ドフィーヌ駅と12号線のアベス駅です。

時代遅れとされたアール・ヌーヴォー

パリにメトロができたのは1900年のパリ万博のときです。すでにロンドン、ニューヨーク、シカゴ、ブダペストにはメトロができていて、パリは遅れをとっていました。そこでパリ市はそれらの都市に負けないような外観の地下鉄を企画し、最終的にデザインを任されたのが建築家エクトール・ギマールでした。彼はすでにパリでは有名な建築家で、マレ地区にあるシナゴーグ(ユダヤ教会)やパリ16区の住宅(カステル・ベランジェ)を設計して高い評価を得ていました。彼は草が絡まるような不思議な形のメトロの入り口を作り上げ、それはアール・ヌーヴォー様式の代表的な建築となりました。

しかしその数十年後、このデザインが時代遅れと判断されると、ほとんどがとり壊れて現代的で散文的な入り口に変えられてしまいます。パリにもこのように美術史的な価値を考えずに古いものを取り壊す風潮がありました。しかし今から30年ほど前にギマールの作品が再評価され、それが複製されて今日に至っています。そのため、パリに出かけると、ほとんどのメトロで「ギマール風」のデザインを見ることができます。中にはポルト・ドフィーヌのように取り壊しを免れてオリジナルが現存するメトロがあり、貴重な建築遺産になっています。ギマールのオリジナルは他にもパリ16区にいくつか残っています(他に18区のアベス駅)。なぜこの地区だけ取り壊しを免れたのかは分かりませんが、16区にギマールの建てた邸宅カステル・ベランジェが多く残っていることが関係していたのかもしれません。ギマールの建築に興味のある方は是非、メトロ2番線に乗ってこの駅へ出かけてみてください。
パリ観光基本情報
エクトール・ギマールのメトロ / Station de Metro par Hector Guimard
パリの観光地
オープン(完成):1900年
住所:
最寄メトロ:Porte Dauphine(ポルト・ドフィーヌ)
エリア:パリ16区
カテゴリ:パリの観光スポット
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エクトール・ギマールのメトロ(ポルト・ドフィーヌ駅)へのアクセス(地図)
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