屑拾いから始まったパリジャンに人気の蚤の市
今回はパリジャンにも人気の蚤の市をご案内します。パリ市内には有名な蚤の市が3つあります。日用品の多いモントルイユの蚤の市、小規模だけどパリらしさを感じられる
ヴァンヴの蚤の市、そして今回ご紹介するクリニャンクールの蚤の市です。クリニャンクールの蚤の市はパリの最北、郊外との境にある巨大な蚤の市(サン・トゥアンの蚤の市とも呼ばれます)。世界最大規模の蚤の市として知られ、7ヘクタールの面積の中に3000軒以上の古物商が出ています。毎年500万人以上の人がこの蚤の市を訪れ、2001年からは建築的・都市的・景観的文化財保護区域に指定され、フランス政府から法的保護を受けるようになりました。
なにもないパリ城壁の外だった
ここはかつて、パリ最後の城壁(ティエールの城壁)のあった場所でした。1841年から45年にかけて建設されたこの城壁の外側は「ゾーン・ミリテール(軍事地域)」と呼ばれていて、建物を立てることは一切禁じられていました。そのため最初この辺りには何もありませんでした。
しかし19世紀後半のオスマンのパリ改造でパリに住めなくなった人たちが、この場所にバラックを建てて住みつきます。そして屑拾いをしながら、集めたガラクタを売り始めました。初めてこの場所で蚤の市が開かれたのは1885年でした。その後噂を聞きつけた骨董好きのパリジャンが集まり、それに合わせて様々な露店が出るようになりました。それが蚤の市の始まりです。それ以来、他にはない商品を買い求めにパリ中の人々が集まり人気となりました。
今では城壁は取り壊され、19世紀の面影もほとんどなくなってしまいましたが、100年以上たった今でも、その蚤の市は毎週末に行われ、多くのパリジャンが自分だけの宝物を見つけにやってきます。