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パリの人気地区:ベルヴィル公園(ベルヴィル)

ベルヴィル

移民が多く住むパリの下町。ストリートアートや中華街の散策が楽しめます。眺めの良い丘はモンマルトルにも負けません。   
パリ人気エリア:ベルヴィル公園(ベルヴィル)
パリ人気エリア:ベルヴィル公園(ベルヴィル)

ベルヴィル

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朝市でにぎわう移民の街

ベルヴィルと聞いてそのイメージを頭に浮かべられる人はよほどのパリ通かパリに住んだことがある人でしょう。ベルヴィルとはパリの中心から外れた東側にある下町地域の名前です。住所としてはパリ19区・20区に当たります。かつてベルヴィルはパリ郊外に位置する労働者の村で、現在は多様な移民たちが集まる活気に満ちた地区になっています。この辺りでは安くて美味しい中国料理やベトナム料理、北アフリカ名物のクスクスなどが食べられます。散歩をすれば地元のウォールアートも楽しめ、パリ中心とは違った「別のパリ」が顔をのぞかせます。ベルヴィル公園に上れば、パリ随一の美しい眺めが楽しめるでしょう。パリにある丘はモンマルトルだけと思われがちですが、実はベルヴィルも小高い丘になっています。パリの眺めがすばらしいことから「美しい街(Belleville)」を意味するベルヴィルと名付けられたといわれています。ベルヴィル大通りで開催される朝市はパリで一、二を争う安さで人気です。

ベルヴィルの歴史

もともとはワイン生産者や織物工場の労働者たちが住む庶民的な村で、パリ郊外だった時代には税金がかからず安いワインが飲め、パリジャンに人気の盛り場でした。19世紀の中頃、セーヌ県知事オスマン男爵によって1859年にパリに併合されました。家賃が安かったベルヴィルはその後多くの難民や移民たちを受け入れるようになっていきます。最初に移民が押し寄せたのは20世紀の初頭です。ロシアやポーランドから多くのユダヤ人が迫害を逃れてやってきました。1930年代にはスペイン内戦で敗れた共和派のスペイン人がやってきました。第二次世界大戦後にはフランスの植民地だったアルジェリアなどの北アフリカ諸国からの移民が住むようになります。その後、1970年代には中国系移民が急増し、中華街を形成します。このような多様な国からの移民が住むことで独自の街ができあがり、様々な文化が共存しながらパリの中でも独自の地位を保っています。壁に描かれたストリートアート(グラフィティ)が多く、それがローカルアートとして公認されているのもベルヴィルの特徴。毎週火曜と金曜にはベルヴィル大通りには移民たちによる朝市が立ち、安い果物や野菜、チーズ、衣料品を求めて多くの人でにぎわいます。大通りにはアフリカのお菓子を売るアラブ菓子のお店も多いです。丘の上にあるベルヴィル公園から眺めるパリの景色は最高で、モンマルトルの丘にも負けません。フランスの人気アニメ『ベルヴィル・ランデヴー』の舞台もまさにここベルヴィルです。またこの通りはパリ中心部、モンパルナス方面へ向かうバスが通るので、パリ中心部に宿をとっている人には帰りのアクセスが便利です。

ベルヴィル観光(1):活気にあふれるベルヴィルの朝市

ベルヴィルの朝市はパリの中でも一、二を争う安さと活気で人気があります。ベルヴィルの中心であるベルヴィル大通りの中央分離帯に長く続く朝市の屋台は永遠に続くのではないかと思うほど長い。果物、野菜、魚、チーズ、ヨーグルト、はちみつ、衣料品、石鹸、お菓子、日用品など、生活に必要なありとあらゆるものが売られ、その中を多くの地元の人がひしめき合うようにして歩いています。前に進むだけも大変なこのにぎわいの中で、店の人たちの「リンゴ1キロ1ユーロ!」といった声を聞いていると、不思議とエネルギーがわいてきます。まさに生きていくためには市場がなくてはならないことを実感させてくれる生のエネルギーに満ちた朝市です。

ベルヴィル観光(2):パリ一眺めのいいベルヴィル公園

ベルヴィル公園はベルヴィル大通りを離れて東へ向かい、丘を上ったところにある丘陵地帯の公園です。1992年に開園しました。園内に入り階段を上がると、不意に視界が開けます。一番上は、標高200メートルの高台!パリで一番高い公園です。エッフェル塔やノートルダム大聖堂、アンヴァリッドなど、パリのパノラマを静かに観ることができます。ここからのパリの眺めが美しいことから、「美しい街」という意味のBellevilleがこの地区の名前になったと言われています。すぐ後ろにはフランス映画『赤い風船』で使われたパリで一番長めのよいであろうアパルトマンが残っています。モンマルトルの丘に比べて、あまりに人の少ない「ベルヴィルの丘」は、パリの隠れた人気スポットなのです。そのせいか、ここはエリック・ロメールの映画のロケにもよく使われています。

ベルヴィル観光(3):ベルヴィルの中華街

ベルヴィルの中華街は、ベルヴィル駅の目の前から始まっています。朝市の起点にもなっているベルヴィル駅を出ると、漢字の看板が目立ちます。目の前を歩くのは中国系か北アフリカ系の人たちばかり。お手頃価格の中華系スーパーでは様々なアジアの食材やお米も売っています。朝市の続くベルヴィル大通りと交差したベルヴィル通りの坂を上っていくと、そこは中華街のメインストリート。多くの中華料理屋が並び、美味しい匂いが漂ってきます。この辺りで食べる肉まんやギョウザはとても美味しく、パリにいることを忘れてしまうほど。この坂道の辺りは、フランスの人気アニメ『ベルヴィル・ランデヴー』のモデルになっています。

またベルヴィル通りの坂の途中にはフランスの国民的歌手エディット・ピアフ(後述)が生まれた家もあります。画家ジョルジュ・ルオーもベルヴィルの下町で生まれています。

ベルヴィル観光(4):本場のクスクスが味わえる北アフリカ街

朝市の続くベルヴィル大通りの通り沿いには北アフリカ系の店が目立ちます(主に通りの東側)。俗にチュニジア街といわれるこの辺りは、チュニジア料理のお店やとても甘いアラブ菓子の店があり、どれも素敵で美味しそう。アラブらしい水煙草のお店もあります。この辺りのクスクスは野菜の量もたっぷりで健康的!食後のミントティー(the a la mante)は甘く旅の疲れを癒してくれます。

大通りのクスクス料理屋も美味しいですが、安さでいうならCouronnes駅付近のJ.P Timbaud通り沿いにあるアルジェリア料理店のクスクス・メゾン(自家製クスクス)がおススメ。たっぷりのクスクスとチキン、タジン(野菜たっぷりのスープ)、食後にはミントティーがついてたったの7ユーロほど。ここより安いクスクスのお店は今のところ知りません。

ベルヴィル観光(5):ベルヴィルの小道を探そう

ベルヴィルを歩いていると、小さな道が多いことに気付きます。ベルヴィル・メニルモンタンの丘には下町好きにたまらない小路がたくさん。石畳が残り、緑も多く静かな佇まいはフランスの田舎を思わせます。パリでも猫が多いのも下町ならでは。家具街のフォーブール・サン・タントワーヌ以上の生粋の下町を味わうことができるかもしれません。

ベルヴィル観光(6):エディット・ピアフとジョルジュ・ルオーが生まれた街

ベルヴィル通りでは、フランスの国民的歌手エディット・ピアフが生まれています。ベルヴィル通り72番地の家の前にはプレートが掲げられ、この建物の階段で生まれたと書かれています(実際には病院で生まれたのが事実のようですが)。ピアフの生涯は謎に包まれており詳しいことは分かっていません。ナイトクラブのオーナーに見出されて店で歌を歌い、戦後は世界的な人気を得てアメリカでも公演をしました。

画家ジョルジュ・ルオーも場末の労働者街だったベルヴィルで生まれています。指物師の息子として生まれた彼は、ステンドグラス職人に弟子入りし、その後画家になるためにエコール・デ・ボザールに入って本格的な絵の勉強に入ります。彼はここでアンリ・マティスと出会います。ルオーを指導していたのは象徴派の画家ギュスターヴ・モローでした。2人の天才たちの故郷ベルヴィルを散策してみてはいかがでしょうか。

ベルヴィルと文学:マルセル・ムルージ『エンリコ』

ベルヴィルの下町の雰囲気をもっと深く知りたい方には小説をお勧めします。マルセル・ムルージの『エンリコ』は貧民街ベルヴィルで暮らす少年エンリコの日常を描いた物語。発表されたのは1943年なので70年以上も前のパリ風景ですが、そこには現在のベルヴィルに通じる活気が感じられ、少年の目を通してパリの景色を鮮やかに見ることができます。ちなみに作者マルセル・ムルージはアルジェリア移民の子供。シャンソンの歌手として有名で、日本でも『小さなひなげしのように』という曲が知られています。小説は日本ではほとんど知られていませんが、興味のある方はぜひ読んでみてください。

映画『赤い風船』に登場したアパルトマン

パリの下町ベルヴィル・メニルモンタンは小高い丘になっていて、パリ中心部を一望できます。丘の上に立つこのアパルトマンはパリで一番見晴らしのいい建物。丘の中腹にあるベルヴィル公園の上に立っています。ここの最上階からはパリで一番の景色が見られるはずです。アルベール・ラモリス監督の映画『赤い風船』の舞台にもなりました。この映画の中でアパルトマンの立つメニルモンタンはファンタジー的な物語と見事に溶け合って魅力的な地区として描かれています。

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