パリの人気エリア
パリの人気地区:メニルモンタン通り(メニルモンタン)

メニルモンタン

変化し続ける未来のカルチエ   

メニルモンタン

変化し続ける未来のカルチエ

パリ20区の丘陵地帯。パリ北東部の高台にある下町情緒の溢れる労働者地区で、多くの写真家や映画監督がこの地区を撮った。アラブ・アフリカの移民が多い。現在は最先端の文学カフェや小劇場が増え、パリで最も流行に敏感な若者が集まる魅力的なカルティエになっている。いまだ定義のできない変化し続ける未来のパリがここにはある。丘の上(坂道)からパリの中心部が一望できるのもメニルモンタンの魅力の一つ。

「悪い所」という名の村だった?

メニルモンタンとは元々「悪所、悪天候な集落」(Mesnil Mautemps)の意味で、16世紀になって"Mautemps"が「上にあがる」という意味の"Montant"に転化した。19世紀前半まで、メニルモンタンはパリではなく「パリ近郊の独立した村」(ベルヴィル自治体の一部)だった。10世紀頃から大小の修道院がこの土地を所有し、その後労働者やブドウ栽培者が住み始めた。そのためメニルモンタンの丘にはかつてブドウ畑が広がっていて、その名残である曲がりくねった魅力ある坂道が今も残っている。パリ市編入までは物品入市税の境界だったためにガンゲット(酒場、ダンスホールなどの遊興場)などが増え、怪しげな刺激を求めて多くのお忍びの紳士やヤクザな男たちが集まる文字通りの「悪所」でもあった。1864年にパリ市に加わってからも、労働者地区であることに変わりはなく、フランスの映画俳優モーリス・シュヴァリエはこの地区を親しみを込めて「メニルムッシュ」(Menilmuche)と歌い、この地区は庶民的で気さくな下町として親しまれた。

パリ・カフェ文化の発祥地!多くの地方人を受け入れた気さくな下町

この頃にセーヌ県知事ジョルジュ・オスマンによるパリ改造が行われ、中心街から外へ追いやられた人々がメニルモンタンやベルヴィルに住み始めた。フランス中部からやってきたオーヴェルニュ人もここへ住みつき、煙突掃除や石炭売りなどの肉体労働をした。彼らの妻が夫の仕事中に店のカウンターで客に酒やコーヒーを出したことが、今のパリ・カフェ文化の発祥とされる。そのためパリにある多くのカフェのオーナーはオーヴェルニュ人。写真は「カニバル(人食い)」という名前の変わったカフェ。他にもユニークなネーミングの斬新なカフェが多いのがメニルモンタンの特徴です。

新進アーティストが住む最新流行地区へ

20世紀になってポーランドやロシアなど、多くの国の亡命者を受け入れた。その後アラブ、ユダヤ、アフリカ移民が多く住み始め、国際色豊かなカルチエとして知られるようになったが、その一方でパリの観光地として取り上げられることはなく、まさに庶民だけのエリアであり続けた。しかし現在、流行に敏感なパリジャンがこの地区に目をつけ、最先端のカフェや劇場が続々とできている。特にオベルカンフ通り付近には若いアーティストによるカフェやバーが多い。パリの流行はどうやら「東」に向かっているようである。

曲がりくねった小道はブドウ畑の名残

まだ完成していない変化し続けるメニルモンタンは、今もっとも新しい地区である。またこの地区の特徴はその地形にある。メニルモンタン駅から丘の上まで長々と続くメニルモンタン通りはこの地区のメインストリートで、この道の上からパリ中心部の景色(ポンピドゥーセンター方面)が一望できる。道からパリの市街が眺望できる稀なスポットでもある。この丘にはかつてブドウ畑が広がっていた。曲がりくねった小さな坂道が多いのはそのためで、現在それらの通りは小路好き(?)にはたまらない散策スポットになっている。メニルモンタン大通りから一歩外れれば、魅力的な起伏のある小道に出会うことができるし、中にはメニルモンタンでは珍しい石畳の道まで残っている。他にメニルモンタンの北には活気溢れる中華街のあるベルヴィル地区、東には観光客の絶えない多くの有名人が眠るペール・ラシェーズ墓地がある。

パリジャンの最新流行を感じるオベルカンフ通り

坂道とは反対側(11区)に続くメインストリートはオベルカンフ通り。ここは今、若者に人気の地区となっている。下町という土地の安さと気さくな雰囲気が多くの新進アーティストを引き付け、彼らによって新しいカフェやバー、小劇場ができたからだ。今まで観光地としては取り上げられることもなかった生粋の下町が、若者文化の発信源として変化し始めていることは興味深い。パリジャンの最新流行を肌で感じたい方は、この通りを散策してみてはどうだろうか。

フランス映画や写真の舞台になったリアル下町

パリの観光ガイドブックにはまだこの地区はほとんど紹介されていないが、ここは数年のうちに流行に敏感なパリ文化愛好者が増えるのではないだろうか。この地区を愛した芸術家は多い。またロベール・ドアノー(Robert Doisneau)やウィリー・ロニ(Willy Ronis)など多くのパリ写真家が愛した庶民的なカルチエでもある。またアルベール・ラモリス監督の映画「赤い風船」の舞台になった。この素晴らしい映画の中でメニルモンタンはファンタジー的な物語と見事に溶け合って魅力的な地区として描かれている。写真は映画の中で出てきたパリで一番見晴らしのいいアパルトマン。ベルヴィル公園の一番上に立っている。写真家や映画監督に愛された地区メニルモンタン。なんといってもモンマルトルを除いてこんなに魅力的な坂道の多い地区は他にない。モンマルトルのように観光地化されていないところも魅力だし、モンマルトルが好きな方もきっとこの地区も気に入るはずだ。

魅力あふれる落書きアート

メニルモンタンを歩くと必ず目にするのが壁に描かれた落書き。とはいっても郊外にあるようなスプレーの書きなぐりではなく、テーマを持った芸術作品なんです。落書きアートは移民街で生きる若者の自由を願った作品からその通りの由来に関する深い内容まで様々。散策の途中で立ち止まって、彼らの声に耳を傾けてみてはいかがでしょう。

パリの湧水があった場所

メニルモンタンを歩くと水に関係する通りの名前があることに気づきます。滝通り(Rue des Cascades)、水たまり通り(Rue de la Mare)。ここはかつて湧水が流れていた場所で、そのためにこのような名前が通りについています。ここには湧水監視小屋(写真)が残り、中世から19世紀までマレ地区に水を引いていました。パリの湧水を求めて、メニルモンタンを散策するのも面白いです。

出発はメニルモンタン駅から

メニルモンタンの散策は、まさにメニルモンタン駅から始めるといい。11区と20区の境界にあるメニルモンタン駅の目の前から、くねくねと曲がった長大な坂道が延びている。これがメインストリートであるメニルモンタン通り(Rue de Menilmontant)。この辺りはフランス人は非常に少なく、アラブ系、ユダヤ系、アフリカ系の人が多い。散策の前に近くの北アフリカ料理屋でボリューム満点のクスクスを食べたり、アラブ菓子を散策のお供にしてもいい。運良く訪れたのが火曜か金曜の朝なら、北のベルヴィルまで延々と続く長い朝市をふらつくことができる。

メニルモンタンの坂を上ればパリを一望!

地元の人たちに紛れながらメニルモンタンの坂を上ろう。パリ中心部では見られない移民系のお店が多く、パリの下町と国際的な魅力を一緒に感じられる。坂を上りきってふと後ろを振り返ると、視界が驚くほど開けてパリの中心部まで見渡すことができる。ポンピドゥーセンターのカラフルな外観が青空の下に光っている。ここは本当に高い丘で、建物に登らずにパリを一望できる貴重なスポットとも言える。

メニルモンタンの知られざる通りたち

かつてブドウ畑であったメニルモンタンには小さな通りが多い。中でも魅力的なのが小路=パッサージュ(Passage)と呼ばれる「抜け道」で、小さな道が好きな人には絶好の散策スポットとなるだろう。丘の上にはそんな魅力的なパッサージュがいくつかある。そのうちの一つが恵み小路(Passage de la Duee)で、ここは人が一人と通れるほどの狭さである。パリの素晴らしいところは、どんなに小さな通りにも名前があること。「荷風パリ地図」にこのエリアのことが情熱的に書かれている。本に載っていたPassage du Retrait(隅っこ小路)は残念ながら現在通行止めになっている。他にも滝通り(Rue des Cascades)や水たまり通り(Rue de la Mare)、隠者の住む通り(Rue de l'Ermitage, Villa de l'Ermitage)など、散策愛好者をうならせる魅力的な通りがたくさん。

バスで下町メニルモンタンからパリの中心ポン・ヌフへ

散策に疲れたら近くのオーヴェルニュ人の経営する昔ながらのカフェで一息いれるか、メニルモンタン通りをセーヌ河まで文字通り突っ切る96番バスで下ってもいい。坂を下りたメニルモンタンの中心街(メトロ駅前)には、様々なアヴァンギャルドなカフェやバーもある。特にメニルモンタン通りが11区に入るところで名前の変わるオベルカンフ通り(Rue Oberkampf)沿いには魅力的な名前のカフェ(「カフェ殺人者」など!)がたくさんあり、若者に人気の場所となっている。96番バスに乗り続けるとポン・ヌフに着き、突如パリ中心部の喧騒に投げ込まれる。

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