パリのアラブ世界で甘いミントティーを味わう
学生街
カルチェラタンを散歩していると、パリでは見かけない不思議な建物があります。エキゾチックな雰囲気を醸し出す白い壁。これは第一次世界大戦で戦死したイスラム圏出身者の兵士のために1922年に建てられたイスラム教のモスク(イスラム寺院、フランス語では「モスケ」)。モスクが建てられたこの土地は、以前フランス領だったモロッコ、チュニジア、フランスの一県だったアルジェリアの人々がお金を出し合ってパリ市が提供した土地に建てたものです。「ミナレ」と呼ばれる四角柱の塔が特徴的で、北アフリカやスペインの建築を思わせます。中にはハマム(公衆浴場)や祈りの間、中庭もある本格的な寺院で、パリに住むムスリムにとって大事な場所。パリにおけるアラブ文化の中心地ともいえます。そのモスクの中にあるアラブ風のカフェがラ・モスケ・ドゥ・パリです。ここは祈りの場だけでなく、アラブのティータイムが味わえるパリ観光にオススメのカフェ。トルコなどで売られている甘いアラブのお菓子や美しいグラスに入ったミントティー(the a la menthe)はどちらも約2ユーロです。ミントティーはパリのチュニジアレストランなどでも出される甘くすっきりした飲み口。お茶なしでは食べられないアラブ菓子バクラワは甘党の方にはオススメです。時にはスズメも入ってくる開放的なテラス風カフェで、その辺りはフランス的。椅子やタイルの内装は美しい青で統一されていて、チュニジアンブルーを思わせます。近くには
パリ植物園もあって散策に便利な場所。パリ観光の休憩にもってこいです。
イスラム教徒だけのバラの中庭
モスク内のカフェの反対側、ピュイ・ド・レルミット通りにあるモスク正面入口の中には、美しいバラの中庭があるそうです。緑色の瓦屋根の回廊に囲まれた神聖な空間で、イスラム教徒以外の出入りは禁止されています。壁一面には複雑な幾何学模様が描かれています。神聖な中庭と、誰も入れる世俗のカフェ。そのどちらの空間にも穏やかなイスラムの時が流れているようです。
パリの中のイスラム
パリは意外にもイスラム教徒が多い街。フランスでカトリック以外の宗教を持つ人のなんと半数がイスラム教徒(約400万人)です。そのためパリにはアラブ菓子のお店や北アフリカのクスクスのレストランなどがたくさんあります。1950年代から1960年代にかけてフランスの植民地だったアルジェリア、モロッコ、チュニジアの移民たちが20世紀の始めからパリに住んでおり、今日もイスラム教のコミュニティを築いています。ムスリムの住む主な地区はパリ19区・20区のベルヴィルやパリ18区のラ・グット・ドールです。5区にあるこのモスクは、パリのアラブ文化のもう一つの中心地といえます。イスラム教徒のパリ生活における政教分離の問題は今も残り、政府と在フランスイスラム教徒の間での論争はまだ続いています。スカーフ着用の問題もその一つです。
パリ観光基本情報
- ラ・グラン・モスケ・ドゥ・パリ / La Grande Mosquee de Paris
- パリのカフェ
- 住所:39 rue Geoffroy St-Hilaire, 5e Paris
- 最寄メトロ:プラス・モンジュ(Place Monge)
- エリア:カルチェラタン
- カテゴリ:パリのカフェ
- 関連:その他のおすすめパリ観光