パリの観光スポット
パリ観光地:パリ植物園

パリ植物園
Jardin des Plantes de Paris

ルソーも訪れたパリ5区にある広大な植物園   
パリ観光地:パリ植物園

パリ植物園

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パリ東にある気持ちのいい緑のオアシス

パリ5区カルチェラタンの東に緑豊かな公園のような場所があります。ここはパリの植物園。国立自然史博物館に所属した国の施設です。散策に最適なパリの観光スポットで、誰でも無料で入ることができます。植物園というよりは公園のような雰囲気で、園内にはフランス式花壇のある美しい大通り、動物園や温室、自然史博物館などがあり、一人の散策でも家族連れでも楽しめます。蓮の花が浮かぶ池は園内の人気スポット。アルプスの植物を集めたアルプス庭園では、フランスでは見られない高山植物が咲き、写真愛好家が熱心に写真を撮っている光景が見られます。博物館の本館である進化大展示館には、動物の進化の様子が一つの吹き抜け空間にダイナミックに展示されていて迫力満点です。植物園の近くにはパリで有名なイスラム教の寺院モスク(ラ・モスケ・ドゥ・パリ)があり、アラブ文化のカフェやレストランも併設されているので散策の合間の休憩におすすめです。

パリ植物園の歴史

パリ植物園はルイ13世の時代、1633年に王立薬草園として設立されました。フランス南部のモンペリエに次いで2番目の古い植物園です。植物は当初、薬や香料を得るために重要なもので、海外に遠征して新しい植物を持ち帰ることは国家的な事業の一つでした。そのため、持ち帰った植物を保管して育てるための研究室として植物園ができたのも自然な流れでした。建設に当たりルイ13世付の医師の一人であったギ・ド・ラ・ブロスによって薬草園の開設許可書が1626年に提出され、それが受理されたことにより建設が決定。1633年に現在のパリ植物園の原型が出来上がりました。

開園した薬草園(植物園)には、海外遠征によって得られた植物が世界中から持ち込まれました。それらの植物は科学の一環として研究対象となり、薬草園は薬理学と植物学の基礎を学ぶ場所として国の重要な機関になり、ついにはヨーロッパ最大の植物園になりました。ここでは科学全般についても学ぶことができ、現在のフランスにおける理工科学校の原型にもなりました。

300年以上前の植物が今も見られる
園内には何百年も前に海外から持ち込まれた植物が今も生きています。1636年に植えられたニセアカシア、1702年にクレタ島からもたらされた2本のカエデ、1735年に植えられたイチイとニオイヒバ、博物学者ベルナール・ド・ジュシューがレバノンから持ち帰ったとされるレバノン杉などです。

パリ植物園の園長(庭園管理官)には著名な学者が任命されました。有名な『博物誌』の著者ビュフォン(1707-1788)もその一人です。1739年に庭園管理官に任命されたビュフォンは王立薬用植物園の整備に力を注ぎました。41年間もの長い間その任務につき、その間に『博物誌』を執筆しました。この時代は啓蒙思想の時代(18世紀)で、宗教に代わって自然が重要視され、そのため植物園も社交界で注目されました。自然研究が国の産業の育成に役立つとされ、王室が自然研究者たちに協力しました。そしてビュフォンの『博物誌』はその時代の作家ルソー、ディドロ、ヴォルテール、グリム、ラマルクなどに影響を与えました。またその中の一人である啓蒙思想の代表者ジャン=ジャック・ルソーは、人生の後半を植物学の研究に捧げ、植物園に植物の種を寄贈しています。

カフェのはじまりは植物園
パリのカフェに不可欠なコーヒーも植物園で育てられました。ルイ14世の時代の1714年、オランダ・アムステルダムで栽培されていたコーヒーの木がフランスに寄贈され、パリ植物園で栽培されるようになりました。これがフランスにおけるコーヒー文化の始まりです。パリのカフェで飲まれるコーヒーは、植物園で育てられたコーヒーの木から作られたものだったのです。

フランス革命後、植物園の管理は王家を離れて国有化され、大温室や小動物園、図書館などを併せ持つ自然博物館になりました。現在はフランスの文部省・研究省・環境省が管理する国立自然史博物館の一部になっています。この植物園に関係した科学者には、ビュフォンやジョルジュ・キュヴィエ(Georges Cuvier)など世界的に有名な博物学者が多く、この付近の通りの名前にもなっています。

植物園内には人気の動物園も

植物園の一角に、子供たちに人気の動物園があります。パリにライオンがいるというと不思議な気もしますが、ここにはカンガルーやダチョウ、フラミンゴ、サルなど、約1000種の動物たちが暮らしています。ここはもともとブルボン家の所有だったヴェルサイユ宮殿にあった動物園で、パリに開園したのは1794年。世界的にも老舗の動物園です。王家がヴェルサイユから追われたフランス革命の後に、ここへ引っ越してきました。動物の管理も王侯から動物学者へ。動物たちが一般市民に親しまれるようになりました。ちなみに19世紀に一番人気だった動物は熊だったと言われています。中世最大の猛獣は、動物園では人気者になったわけです。

エジプトから来たキリン
1827年、フランスに初めてキリンがやってきました。エジプトのメヘメット・アリからシャルル10世に寄贈されたキリンは、多くのフランス人の熱狂を受けながら船でフランスに到着。手厚い保護を受けながらマルセイユから歩いてパリまでやってきました。珍しいキリンを見るために、半年間で60万人以上のフランス人が植物園を訪れたそうです。

アンリ・ルソーが描いたジャングル世界のモデルになった

印象派の画家アンリ・ルソーは、熱帯の密林のような不思議な絵で有名ですが、あのスケッチはパリ植物園で行われました。園内の温室にある熱帯の植物をスケッチし、それに独特な世界観を加えて絵にしました。オルセー美術館やポンピドゥーセンターにあるルソーのジャングルの絵を観て、植物園から南方の楽園を夢想したルソーの気持ちになってみるのもいいかもしれません。
パリ観光基本情報
パリ植物園 / Le Jardin des Plantes de Paris
パリの観光地
オープン:1633年
住所:57 Rue Cuvier, 75005 Paris
最寄メトロ:Jussieu(ジュシュー)、Place Monge(プラス・モンジュ)、Gare d'Austeritz(ガル・ドステリッツ)
エリア:カルチェラタン
カテゴリ:パリの観光スポット
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パリ植物園へのアクセス(地図)
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