世界最古の大学前にあるバロック的広場
パリ5区の学生街
カルチェ・ラタンを散歩していると、温かな光に満ちたカフェがあった。ここはソルボンヌ広場にあるカフェ「Tabac de la Sorbonne」。ソルボンヌと聞いて多くの方の頭に浮かぶのは大学だろう。その名前の通り、広場の前にはパリ=ソルボンヌ大学(Universite Paris-Sorbonne)がある。ソルボンヌ大学といえば、世界最古の大学の一つとして有名。フランスの中でも特にレベルの高い大学と思われるが、平等の国フランスでは全ての大学の学業レベルは同一で、共通試験(バカロレア)を受け合格すればどの大学でも入れるようになっている(グランゼコールを除く)。
広場正面にはソルボンヌ大学付属の教会が立つ。この教会は時の宰相リシュリュー(Armand Jean du Plessis Richelieu 1585-1642)によって建築家ルメルシエ(Jacques Lemercier 1585頃-1654)の設計で17世紀に作られたもので、広場はその教会に合わせて整備された「教会のための広場」になっている。現在広場の西側はサン・ミッシェル大通りになって開けているが、建設当時は四方を建物で囲まれた広場だった。教会とほぼ同じ面積で作られたソルボンヌ広場は、教会のファサードとその周りに配された建物を美しく見せるバロック的広場の稀な完成形ともいえる(それまで中世の広場は、建物を美しく見せるという概念があまりなかった)。
広場の周囲にはサン・ルイ高校やルイ=ル=グラン高校などの超進学校もあり、ここがフランスの知の中心であることを感じさせる。これらの高校は中世修道院の寄宿舎が元になっており、当時は貧しい学生たちがラテン語を学ぶために集まっていた。17世紀から変わらない教会の前に佇む広場には、今では多くのカフェができ、シックで上品なパリの夜を演出している。