パリ散策モデルコース
おすすめパリ散歩:学生街カルチェラタンの名所を歩く
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このモデルコースの概要
学生街カルチェラタンの人気観光地を訪れるパリ散策コース。パリ最古のカフェ、偉人たちが眠るパンテオン、気持ちのいいリュクサンブール公園、クリュニー中世美術館も訪れます。
主な散策ルート
- メトロ駅:サン=ミッシェル
- サン=ミッシェル広場
- シェイクスピア&カンパニー書店
- コメルス・サンタンドレ小路
- ル・プロコープ
- オデオン座
- リュクサンブール公園
- パンテオン
- ソルボンヌ広場
- クリュニー中世美術館
- メトロ駅:サン=ミッシェル
スタートは学生街の中心地サン=ミッシェル広場
カルチェラタンはパリ左岸を象徴する知的で散策に適したエリアです。出発はメトロ4番線のサン=ミッシェル駅から。地上に出ると聖ミカエルの噴水があるサン=ミッシェル広場があります。ナポレオン3世による第2帝政時代の1855年に造られた広場で、現在はカルチェ・ラタン散策の待ち合わせスポットとして賑わっています。サン=ミッシェル広場から見たセーヌ川の夜景は特に美しく、広場とサン・ミシェル橋をつなぐパリ発祥の地シテ島を眺めることができます。この辺りは学生や教授たちが歩く学生街の中心地で、ソルボンヌ大学(パリ大学)のある丘に向かってサン=ミッシェル大通りの坂道が続いています。ヘミングウェイが通った伝説的書店
最初に向かうのはシェイクスピア&カンパニー書店。サン=ミッシェル広場から歩いてすぐのところにあります。この書店名はパリ修業時代のヘミングウェイが通った伝説的書店に由来しています。作家や読書家にとって、書店というのはいつの時代も精神的な拠り所です。若き日のヘミングウェイに本を貸したシルヴィア・ビーチの経営するシェイクスピア・アンド・カンパニー書店もそんな書店の一つでした。パリに住むアメリカ作家を支援するために1919年に開かれた英文書専門の書店はデュプイトラン通り8番地にありましたが、1921年5月にオデオン通り(Rue de l'Odeon)12番地に移りました。ノーベル文学賞を受賞したアメリカの作家ヘミングウェイはパリでの作家修業時代にこの書店に通っていましたが、第2次世界大戦中の1941年、ドイツ占領下のパリで閉店を余儀なくされます。それから10年後の1951年、パリ5区のセーヌ河近くにひとつの書店がオープンしました。これがシルヴィア・ビーチの意志を受け継いだ2代目シェイクスピア&カンパニー書店。今回の散策で訪れるのはこの2代目の書店です。セーヌ川を挟んでノートルダム大聖堂の見えるブシュリー通り(rue de la Bucherie)37番地にあります。開店当時はル・ミストラル(Le Mistral)という名前で営業していて、ジャック・ケルアックやヘンリー・ミラー、アレン・ギンズバーグなどのビートニク作家に人気の場所でした。しかしシェイクスピア&カンパニー書店の店主シルヴィア・ビーチが1962年に亡くなると、彼女の文学的意思を継いで店名をシェイクスピア&カンパニー書店に変えました。今では世界中の文学ファンや小説家志望の若者が集まる「文学のユートピア」のような役割を担っています。パリ修業時代に書かれたヘミングウェイの傑作『日はまた昇る』がよく売れているそうです。この書店は映画の舞台にもなっていて、『ビフォア・サンセット』や『ミッドナイト・イン・パリ』にも登場しています。
別世界に迷い込んだようなコメルス・サンタンドレ小路
書店を見た後はすぐそばのルネ・ヴィヴィアーニ公園で休むのもいいですね。サン・ジュリアン・ル・ポーヴル教会の隣にある美しい公園です。そのあと観光客向けのレストランが多いユシェット通りを抜けてサン=ミッシェル広場に戻り、サン=タンドレ・デ・ザール通りに入ります。ここはカフェやレストラン、ブティックの多い散策に適した通り。しばらく歩くと左側に狭い路地が見えてきます。中に入ると小さな石畳の通りが奥に続いています。ここはコメルス・サンタンドレ小路(Cour du Commerce Saint-Andre)。正式名は「通り」を意味するリュ(rue)ではなくクール(cour)と表記されているので、「石畳の中庭」といった意味合いがあるようです。通りは半分アーケードになっていて、小さな別世界に入り込んだような楽しさがあります。パリ最古のカフェ「プロコープ」(正面入り口はランシエンヌ・コメディ通りにあります)や中世の城壁があったりと、歴史的なスポットが数多く残っている穴場の道です。パリ最古のカフェへ
小路を抜けて次に向かうのはランシエンヌ・コメディ通り。ここにはパリで最も古いカフェとして知られるプロコープがあります。創業者のプロコピオはフランスで初めてジェラート(アイスクリーム)を売った人物でした。パリに存在しなかったジェラートが大当たりして評判を呼び、1672年にはアイスクリームの店を構えています。彼はもともとパスカルというアルメニア人がパリで初めて開いたカフェで働いていましたが、パスカルが店を閉めてロンドンに渡ってしまうと、あとを継いで新しくカフェを開きます。それが今も残るパリ最古のカフェ、プロコープです。ちなみに店の名前の「プロコープ」とはプロコピオをフランス式に発音したもの。現在はカフェだけではなくレストランとしても営業していて、昔ながらのクラシックなフレンチを味わうことができます。前菜はエスカルゴやオニオンスープなど、メインはタルタルステーキや鴨のコンフィなどが人気です。デザートには大きなクレームブリュレを食べられます。コーヒーだけの注文も可能ですので、散策の合間に気軽に立ち寄ることができます。オデオン座と『ユリシーズ』を出版した伝説的書店の跡地
プロコープで休憩をした後は、高級ブティックやカフェの多いサン=ジェルマン大通りを渡ってオデオン通りに入ります。静かな通りを歩くと、目の前に大きなギリシア・ローマ様式の建築物が現れます。パリを代表する劇場の一つであるオデオン座です。ここは元々フランスの貴族であるコンデ公の館の庭でした。フランス革命前の1782年からあるとても古い劇場で、当時のフランス人の趣味で新古典主義建築(古代風)として造られました。またオデオン通りには短いながらも文学にとって重要な歴史的スポットがあります。オデオン通り12番地にはかつてシェイクスピア&カンパニー書店(Shakespeare and Company)があり、長い間パリに住むアメリカ人の文学的シンボルとなっていました(このパリ散策の最初に訪れた書店はその2代目です)。アメリカ人女性シルヴィア・ビーチによって1919年にオープンしたこの英語専門の書店は、当初は無名の小さな書店でした。しかしアイルランドの作家ジェイムズ・ジョイスの問題作『ユリシーズ』を出版(1922)したことでも有名になり、英語を読みたいアメリカ人たちにとって心の拠り所であり続けました。ノーベル賞作家ヘミングウェイもここに通い、書店主のビーチと交流を深めました。パリジャンに愛されているパリ左岸のオアシス
オデオン座を抜けると、黒い鉄柵の向こうに広大な緑が見えてきます。ここはパリの人気スポットの一つであるリュクサンブール公園。総面積が23haもあるパリ市民の憩いの場です。幾何学的なフランス式庭園は美しく、日光浴や木陰や噴水での休憩のために多くのパリジャンがやってきます。元々はアンリ4世の妃マリー・ド・メディシスのために建てられたリュクサンブール宮殿の庭園でした。アンリ4世が亡くなった悲しみを癒すために、妃が生地トスカーナを思い起こさせる宮殿を造らせたのが始まりです(現在はフランス上院(元老院)の施設となっています)。園内には果樹園や養蜂場(Rucher du Luxembourg)もあり、とても自然豊か。中央の噴水では子供向けのヨットの玩具が浮かんでいます。公園の東側には美しい装飾が施されたメディシスの泉(Fontaine des Medici)があり、静けさを好む人にうってつけの読書スポットになっています。美しい公園内を散策し、日の光を浴びながらゆっくり休みましょう。偉人たちが眠る聖ジュヌヴィエーヴの丘へ
リュクサンブール公園を出たら、聖ジュヌヴィエーヴの丘を目指してスフロ通りへ。この辺りはカルチェラタンでも一番高い場所です。通りを歩くと目の前に壮麗な建物が見えてきます。巨大なドームとコリント式の円柱が特徴的なこの建築はパンテオン。ルイ15世の病気回復を祝って建築されたギリシャ風神殿です。パリの人気観光名所になっているパンテオンは、聖ジュヌヴィエーヴの丘の上にあり、1757年に着工されてフランス革命期の1792年に完成しました。堂内にはパリの守護聖人だった聖ジュヌヴィエーヴが祀られています。最初は教会として作られたパンテオンでしたが、フランス革命期に完成したため、権力の象徴と見なされる教会建築は多くの市民に批難されました。そのためパンテオンは国民議会によってフランスの偉人たちを祀る霊廟として利用されることが決まります。パンテオンの正面には"Aux grands hommes la patrie reconnaisante"(偉人たちに祖国は感謝を捧げる)と書かれています。現在パンテオンには、キュリー夫人、アレクサンドル・デュマ、ヴィクトル・ユーゴー、アンドレ・マルロー、ジャン=ジャック・ルソー、エミール・ゾラ、クロード・モネなど、フランスを代表する作家・思想家・画家などの偉人たちが眠っています。パンテオンの周辺にはパリ5区の区役所やパンテオン・ソルボンヌ大学(パリ第1大学)、アンリ4世高校、サント・ジュヌヴィエーヴ図書館、サンテティエンヌ・デュ・モン教会など、カルチェラタンの重要な建物が立っているので、時間のある方は見てみましょう。アンリ4世高校はパリを代表する進学校で、元々は修道院の寄宿舎でした。学校内にはクロヴィスの塔が残っています。サンテティエンヌ・デュ・モン教会にはパリをフン族から救った英雄サント・ジュヌヴィエーヴの聖遺物が安置されています。
大学の前にあるソルボンヌ広場へ
パンテオンを出たらクジャス通りを歩きます。交差するサン・ジャック通りの向こうに見えるのは世界的に有名なパリ=ソルボンヌ大学(Universite Paris-Sorbonne)。ひと際突き出た丸屋根の建物は天文台です。ソルボンヌといえば、世界最古の大学の一つとして有名です。フランスの中でも特にレベルの高い難関大学と思われますが、国立大学はどこも同じ学力レベルで、フランスの大学共通試験(バカロレア)を受け合格すればどの大学でも入れるようになっています(グランゼコールに入る場合は大学卒業後にさらに予備校に通って難易度の高い試験を受ける必要があります)。大学の前にはソルボンヌ広場があり、カフェや哲学書専門の書店などがあります。広場正面にはソルボンヌ大学付属の教会が立っています。この教会はルイ13世の宰相リシュリューによって建築家ルメルシエの設計で作られたもので、広場はその教会に合わせて整備された「教会のための広場」になっています。リシュリューは政治家であると同時にカトリック教会の聖職者でもありました。現在広場の西側はサン・ミッシェル大通りになって開けていますが、建設当時は四方を建物で囲まれていたそうです。古代ローマ遺跡が残るクリュニー中世美術館
ソルボンヌ広場を抜けてカルチェラタンの丘を下ります。サン・ミッシェル大通り沿いを歩いていると、不意に古代遺跡のような壁が現れます。これは古代ローマの浴場跡。パリでは珍しい古代ローマ帝国の遺跡です(かつてガリアと呼ばれていた時代、パリはローマの支配下にありました)。この遺跡の隣には、中世建築の代表例と言われるクリュニー館(Hotel de Cluny)があり、ここが今回のパリ散策の最後に訪れるクリュニー中世美術館です。この美術館には中世の彫像や彩色写本、家具、武器、美術品などが展示され、中世の美術に関心のある人には最適なパリスポット。クリュニー中世美術館で人気なのは2階の13室にある『貴婦人と一角獣』というタイトルのタペストリー。15世紀末にオランダ南部(またはベルギー)で作られたものと言われています。再びサン=ミッシェルへ
クリュニー中世美術館を出たら、サン=ミッシェル大通りを歩いてセーヌ川まで下り、再びサン=ミッシェル広場へ。この辺りには安価な古書店も多く、学生街といった雰囲気を感じられます。ここでパリ散策は終わりです。今回はカルチェラタンの名所であるル・プロコープ、オデオン座、パンテオン、ソルボンヌ大学周辺、クリュニー中世美術館などを巡る定番のコースをご紹介しました。次回のカルチェラタン散歩の参考にしてもらえれば嬉しいです。お疲れ様でした。- パリ観光基本情報
- パリのオススメ散策コース
- コース内で紹介した観光スポット:シェイクスピア&カンパニー書店、カフェ・プロコープ、オデオン座、リュクサンブール公園、パンテオン、ソルボンヌ広場、クリュニー中世美術館
- 所要時間:約2時間
- 利用メトロ:サン=ミッシェル(Saint-Michel)
- エリア:カルチェラタン
- カテゴリ:パリおすすめコース
- 関連:パリの人気観光スポット
散策で通ったパリのエリア・スポット
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