セーヌの先端にあるロマンティックな小公園
パリのセーヌ川に架かる橋
ポン・ヌフ。その中央にあるアンリ4世の騎馬像の後ろに回ると、下へと続く秘密めいた階段があります。階段を降りると、橋の上の喧騒が消え、静かなセーヌの流れが間近に見えます。
シテ島の西端にあるヴェール・ギャラン公園です。ヴェール・ギャランとは「好色なお爺さん」の意味で、愛人の多くいたフランス国王アンリ4世のあだ名がそのまま公園の名前になっています。セーヌに浮かぶ船の甲板のような細長い公園には美しい緑やベンチがあり、一番先端には柳の木が垂れています。その先端はセーヌの下流となっていて、ポン・ヌフ、ルーヴル美術館、造幣局などの美しいパリの眺めを楽しむことができます。セーヌの流れを見つめながら沈みゆく西日を眺める時間は、パリ観光の中でも格別なひととき。セーヌに浮かぶ船に乗った気分でロマンティックな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
タンプル騎士団長の火刑の現場となった
今では静かな憩いの場となっていますが、かつてここでタンプル騎士団長ジャック・ド・モレーが火刑に処せられるという事件がありました。高位の僧である彼自身に何の罪状もありませんでしたが、中央集権化のための経費を探していた当時のフランス国王フィリップ美男王(1268-1314)はタンプル騎士団の所有する莫大な財産を奪うため、団長を殺して騎士団の解体を図ったのでした。1314年、現在ヴェール・ギャラン公園となっているこの場所で、団長モレーとノルマンディー管区長シャルネーの処刑が実行されました。こうして国王は理不尽な策略でタンプル騎士団の財産を手に入れました。しかしフランス国王はその約半年後に落馬して重傷を負い、あっけなく亡くなりました。その死はモレ―の予言通りでした。