シャイヨー宮
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エッフェル塔の向かいにある丘の上の展示場
シャイヨー宮はセーヌ河を挟んでエッフェル塔の向かいにある大型展示場。パリ16区のシャイヨーの丘の上に立っています。パリを訪れた人なら一度はその白い優美な外観を見たことがあるかもしれません。正面には半円形のトロカデロ広場があり、2024年パリ・オリンピックの会場として使われました。2024年パリ五輪の舞台になった
トロカデロ広場は2024年のパリ・オリンピックの主要な舞台にもなりました。広場ではトライアスロン、パラ・トライアスロン、ロードレース(個人タイムトライアル)、マラソン、20km競歩とマラソンスイミングなどの競技が開催されました。
1937年パリ万博の遺産
1937年に行われたパリ万博で作られた建物としては、シャイヨー宮の他にパレ・ド・トーキョーがあります。どちらも1930年代の新古典主義建築の代表作でした。
かつてシネマテークがあった
シャイヨー宮にはかつてはシネフィル(熱狂的な映画愛好者)の聖地として知られた映画博物館(シネマテーク・フランセーズ)も入っていましたが、1997年に火災によって閉鎖しました。現在はパリ12区のベルシー地区にミュゼ・ドゥ・ラ・シネマテーク(Musee de la Cinematheque)と名前を変えて再オープンしています。
シャイヨー宮の歴史(1):かつてはトロカデロと呼ばれていたシャイヨーの丘
昔からこの丘には宮殿を建てる計画が持ち上がっていました。ナポレオンも皇太子ナポレオン2世のために宮殿の造営を命じましたが自身の失脚によって目的を果たせずに終わりました。その後王政復古の時代となり、1823年にスペイン革命政府との戦いに勝利したブルボン王朝のフランスは、そのときに攻略した砦の名前からシャイヨーの丘をトロカデロと呼びました。トロカデロは南スペインのカディスにあり、このように戦勝した海外の土地の名前をパリの地名として使うことがよくありました。その後1830年の七月革命で王政復古が終わった後、一時ナポレオンの墓を丘の上に建てようという計画が出ましたが、結局ナポレオンの遺骸はアンヴァリッドに安置され、トロカデロの丘は長い間ただの自然な丘でした。対岸のエッフェル塔も存在しなかったことを考えると、この辺りは本当に見渡す限りの丘と野原だったのかもしれません。トロカデロの丘は見晴らしがよかったため、多くのパリジャンがピクニックに出かけたと言われています。シャイヨー宮の歴史(2):トロカデロ宮の建設、その後現在のシャイヨー宮へ
この丘に初めて建物が建ったのは1878年のパリ万博の時。エッフェル塔が建つ11年前のことでした。丘の上に完成したトロカデロ宮はガブリエル・ダヴィウーとジュール・ブールデによって設計されたアラブ風の異様な建物でした。2つの塔が立つ独特の外観で、中には大きなコンサートホールがありました。しかしトロカデロ宮の外観は当時のパリジャンには評判が悪く、そのため1937年のパリ万博のときに取り壊され、今のシャイヨー宮が建てられました。新しい建物は新古典主義建築で、建築家ルイ=イポリット・ボワロー、ジャック・カリュ、レオン・アゼマによって設計されました。シャイヨー宮の歴史(3):100年以上続いた水族館がリニューアルオープン!
シャイヨー宮の前身であるトロカデロ宮が作られた際に、水族館もオープンしました。130年以上前から水族館があったとは驚きです。実はヨーロッパでは19世紀の半ばにガラスケースを使って動植物を育てることが流行し、1851年のロンドン万博では世界初の水族館(フィッシュハウス)が作られました。その後アクアリウムという言葉が生まれ、1878年のパリ万博で成功を収めました。そのため、トロカデロ水族館はフランスにおけるアクアリウムに先駆けとなりました。このアクアリウムは100年以上も運営されて1985年に閉館しましたが、2006年にリニューアルオープンしています。エッフェル塔の絶景スポット
シャイヨーの丘はパリでも珍しい高い場所。シャイヨー宮の前は平らなテラスになっていて、遮るものは何もありません。そのため向かいにあるエッフェル塔の絶景スポットになっています。セーヌ越しに観るエッフェル塔はどこよりもよく見ることができ、高い建物のないパリの空に見事な均整美を描いて立っているのが分かります。テラスではパリへやって来た人々がエッフェル塔を見ながら感嘆の声を上げて記念撮影を行い、その間を観光客目当ての物売りたちが歩いています。結婚式の写真撮影としても人気の場所です。丘からセーヌ川に向けて広がるトロカデロ庭園は傾斜のある遊歩道になっていて、シャイヨー宮とエッフェル塔を結ぶ開けた散策路になっています。彼はトロカデロ河岸の反対側、博物館の二つの建物に挟まれ、セーヌに面した場所で立ち止まった。階段にすわり、美しい景色を眺めてぼんやりした。庭園には踊り場や噴水や彫像が配置され、夢のような舞台装置が作られている。イエナ橋が流れのうえに明かりのタッチを加え、それが対岸のエッフェル塔まで続き、塔は、鋳物でできた大きな文鎮のようだった。まわりには、シャン=ド=マルスの暗い建物が寺院のような静寂のなかで眠っている。すべてが一体となって、地の果てにあるチベットの隠された王国、夢のキサナドゥを思わせた。
ジャン=クリストフ・グランジェ『狼の帝国』
元旦にはパレードも開催
パリには日本のようなお正月はありませんが、新年を祝ってのイベントがパリで開かれます。シャイヨー宮では新年を祝うイベントが開催されます。パリに住む各国の人々がパフォーマンスを行います。国際都市パリならではの光景です。- パリ観光基本情報
- シャイヨー宮 / Palais de Chaillot
- パリの観光地
- オープン:1937年
- 住所:Place du Trocadero et du 11 Novembre 75016 Paris
- 最寄メトロ:トロカデロ(Trocadero)、イエナ(Iena)、パッシー(Passy)
- エリア:エッフェル塔周辺
- カテゴリ:パリの観光スポット
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シャイヨー宮へのアクセス(地図)
シャイヨー宮へのアクセス(地図)