ラジオ・フランス
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「円い家」と呼ばれるフランスの公共ラジオ放送局
セーヌ河の中州にある白鳥の小径を歩いていると、セーヌ河沿いに大きな円形のモダンな建物が見えてきます。高級住宅街パッシーの中で異様な存在感を持つ近代的な外観。ここはラジオ・フランスというフランスの公共ラジオ放送局。ド・ゴール将軍時代の1963年、フランスの国営ラジオ・テレビ局の建物として建設されました。このモダンな施設を設計したのは建築家アンリ・ベルナール。「メゾン・ロンド」(円い家)と呼ばれる円形の外観で、その斬新さは今でも際立っています。アルミニウムが張られた外側の円形施設には約1000の事務所と小さなスタジオがあり、その内側の円形施設には大きなスタジオが入っています。無料のコンサートも開かれる
建設当初はラジオ・テレビ局でしたが、1975年にラジオ局専門の施設となり、現在では各放送局で独自のラジオ番組を作成しています。番組にはPOP音楽やニュース、文化関連だけでなく、クラシック音楽やジャズ音楽専門の番組もあるところがフランスならでは。ラジオ局ではフランス国立管弦楽団とフランス放送フィルハーモニー管弦楽団などを運営しており、たまにパリ市民や観光客に向けた無料コンサートが開催されます。生のクラシック演奏を聴きにラジオ局へ行くというのもいいですね。また施設内にはラジオ博物館もあるので、ラジオ好きのマニアにもおすすめの場所です。映画のロケ地になったラジオ・フランス
ラジオ・フランスは映画のロケ地としても使われました。ジャン=リュック・ゴダールの前衛的なSF映画『アルファヴィル』の舞台となり、巨大コンピュータの支配する近未来施設として登場します。モダンで巨大な円柱状の建物は、たしかにSF映画にぴったりかもしれません。また、ミカエル・アース監督の『午前4時にパリの夜は明ける』にはラジオ・フランスが物語の重要な舞台として登場します。主人公エリザベートは2人の子供を育てるシングルマザー。生活のために慣れない仕事を始めますがうまくいかず、その後ラジオ・フランスで深夜番組のアシスタントとして働くようになります。公共ラジオ局の近未来的な外観は伝統的なオスマン様式の建築が並ぶパリ16区で異様な存在感を放っています。深夜番組ではリスナーからの正直な悩みをパーソナリティがリアルタイムで真摯に耳を傾け、言いたいことを何でも言える自由な空間が生まれます。映画の舞台となる80年代のフランスは、ミッテラン大統領による戦後初の左派政権が生まれた時代。革新的で自由な意識がフランス人の間に生まれた時代を描く方法として、ラジオ・フランスは最適の場所だったのかもしれません。
- パリ観光基本情報
- ラジオ・フランス / Maison de la Radio France
- パリの観光地
- オープン:1963年
- 住所:116 avenue du President Kennedy 75016 Paris
- 最寄メトロ:Ranelagh(ラヌラグ)、Avenue du President Kennedy(アヴェニュー・デュ・プレジデント・ケネディー)
- エリア:パッシー
- カテゴリ:パリの観光スポット
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ラジオ・フランスへのアクセス(地図)
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