フランス国立図書館
最終更新日:
本の形をした巨大な図書館
ノートルダム大聖堂のあるシテ島を抜け、セーヌ河を上流に向かうと、左岸に巨大な本を4冊開いて立てたような不思議な建物が見えてきます。フランソワ・モーリアック河岸に建つこの建物は1994年に完成したフランス国立図書館の本館です(公開は1996年から)。パリでは珍しい近代的な高層ビルで、高さ100メートルのガラス張りとなっています。建築家ドミニク・ペローによるデザインで、4つの建物に囲まれた中央には屋上テラスに囲まれた中庭が配置され、そこから地上階の閲覧室に上る仕組みになっています。4つの建物内部は書庫として利用され、本の劣化を防ぐために光をさえぎる特殊なブラインド(二重の無反射ガラス)が設置されています。ここは別名「フランソワ・ミッテラン図書館」とも呼ばれ、当時のミッテラン大統領のグラン・プロジェ(パリ大改造計画)の最後を飾る建築となりました。パリ大改造計画とは?
グラン・プロジェ(Grands Projets)と呼ばれるパリの都市再生プロジェクトのこと。フランス革命200年を記念し、当時のフランソワ・ミッテラン大統領の元で指揮された。9つのプロジェクトで構成され、その中にはルーヴル美術館の改造(1989)、アラブ・世界研究所(1987)、グラン・ダルシュ(1989)、オペラ・バスティーユ(1989)、新国立図書館(1995)などの建設が含まれていた。
「新たなパリ」が楽しめるベルシー地区
新国立図書館の対岸にあるベルシー地区は17世紀頃よりワインの集積地でした。ブルゴーニュ地方から船で運ばれてきたワインの荷揚げ場所として栄え、少し前まではここにたくさんのワイン倉庫が並んでいました。最近では再開発が進み、公園やコンベンションセンターなどの新しい施設が誕生。その中でも「ベルシー・ヴィラージュ」はワイン倉庫をそのまま改装したバーやレストランが並ぶエリアとして人気です。パリでは珍しく日曜でも営業している店が多いのも魅力。
フランス国立図書館の歴史
1990年代に本館ができたフランス国立図書館ですが、その起源は14世紀にまでさかのぼります。1367年にシャルル5世によって創立された王立図書館が始まりと言われています。当時は手書きの写本が917冊納められていたそうです。1789年のフランス革命によって国立図書館となり、ナポレオンの帝政期には帝政図書館などと呼び方が変わりましたが、1994年に現在の名称であるフランス国立図書館になりました。現在はパリ2区のリシュリュー通りに18世紀からある旧館(リシュリュー館)、かつてのパリ兵器工場に建てられたアルスナル図書館、そして13区に新しくできた本館(フランソワ・ミッテラン図書館)の3つで構成されています。現在主要な書籍のほとんどはセーヌ河を越えて本館に移されていますが、古文書、古地図、版画、写真などの文献の一部は旧館に所蔵されています。この八月私はパリへ行き、地下鉄で誇大妄想狂のミッテランが作り上げたフランスの国立図書館が入っているばかばかしいほど巨大な建造物に足を向けた。W・G・ゼーバルトはあそこには《われわれの文明が生み出したものすべてが埋葬されている》と言い、さらに進歩と特異な思想の催眠術にかかった近代人は、あの霊廟に収められているものはもちろん、もはやこの世にいない人たちの足跡も懐かしく思い出すことはなく、近代人の例にもれず手の届かない未来の幻影の中で踏み迷っていると言っているが、あの奇妙な場所を訪れた私も同じ思いを抱いた。
エンリーケ・ビラ=マタス『パリに終わりはこない』
1400万点のコレクション
フランス国立図書館にはフランスに関わるあらゆる文献を国有財産として所蔵し、展示や紹介を行っています。書籍だけでなく、貴重な原稿、写真や地図、版画、楽譜、コイン。オーディオビジュアルなど約1400万店の文献が収蔵されています。まさにフランスにおける最大の知の宝庫と言えるでしょう。しかも毎年約15万点の文献が寄付や購入でコレクションに加えられています。また電子図書館ガリカ(Gallica)がネット上で開かれ、150万点の文献へアクセスすることができます。リシュリュー館がリニューアルオープン
国立図書館の旧館であるリシュリュー館は12年をかけて全館改修工事をしていましたが、2022年に工事が終わり9月に一般公開されました。リシュリュー館はマゼラン枢機卿の旧宮殿を改装して造られた旧王立図書館です。1721年に創設され、約2000万点の作品が収蔵されています。面積は6万平方メートルあり、その内の3分の1は倉庫として利用されているそうです。また文書以外にも絵画や彫刻、地図、版画、硬貨、写真など様々な芸術品が所蔵されており、豪華なマンサールの間とマゼランの間では定期的に特別展が開催されています。今回の改修によって新たにできた美術館では古代から現代までのコレクション約900点が展示されます。今までは研究者だけが入館を許可されていましたが、リシュリュー館の象徴として知られる"Paradis ovale"(La salle Ovale)は誰でも入室可能となるそうです。全ての人に開かれた知識の殿堂
フランス国立図書館の利用者のほとんどは研究者ですが、学習図書館(フランソワ・ミッテラン館の2階)であればどなたでも利用可能です。あらゆる分野のコレクション(書籍・雑誌・オーディオビジュアル・データベース)が閲覧可能で、文献のコピーもできます。入場にはお金がかかりますが、学習図書館であれば17時以降は無料となります。ご興味のある方はぜひ訪れてみてください。図書館を訪れフランスの知を肌で感じるだけでも、貴重な体験になるのではないでしょうか。- パリ観光基本情報
- フランス国立図書館 / Bibliotheque nationale de France
- パリの観光地
- オープン(完成):1367年
- 外部情報:公式サイト
- 住所:Quai Francois-Mauriac 75706 Paris Cedex13
- 最寄メトロ:Quai de la gare(Quai de la gare)、Bibliotheque Francois-Mitterrand(ビブリオテック・フランソワ・ミッテラン)
- エリア:カルティエ・ド・ラ・ギャール
- カテゴリ:パリの観光スポット
- 関連:その他のおすすめパリ観光
フランス国立図書館へのアクセス(地図)
フランス国立図書館へのアクセス(地図)