ロダン美術館
Musée Rodin

18世の館を改装したロダンのアトリエへ

ロダンという名前を聞いて、あまりにも有名なあの像を思い浮かべる人は多いでしょう。ロダン美術館はパリ7区にある美術館で、『考える人(Le Penseur）』や『地獄の門（La Porte de l'enfer）』で有名なフランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの作品が所蔵されています。世界中にファンのいるロダンの作品が集まっているため、パリを訪れる動機の一つとしてこの美術館を挙げる人も多いようです。2階建ての室内にはロダンが制作したブロンズ像や大理石像が展示され、特に作家バルザックの像は有名です（部屋着姿のバルザックの像はモンパルナスの街中にも置かれています）。また館内には、男女のロマンスを大理石に刻んで議論を起こした傑作『接吻（Le baiser）』も展示されています。

ロダンの提案で誕生したロダン美術館の歴史

美術館の建物は18世紀に建てられたビロン館（Hotel Biron）という館で、晩年にロダンがアトリエ兼住居として使っていました。1911年にフランス政府がビロン館を買い取ろうとした際に、この館を気に入ったロダンが自分の作品の寄付を条件に美術館として使ってほしいと提案したのがロダン美術館誕生のきっかけです。
その提案を受け、ロダン美術館はロダンが亡くなった後の1919年に開館しました。近くの観光地としてはアンヴァリッドがあります。またパリ近郊の街ムードンにもロダンが暮らしていたアトリエがあり、美術館として公開されています。

静かな彫刻庭園でパリの喧騒を忘れる

館の外には庭園があり、散策を楽しみながら彫刻を鑑賞することができます。ところどころに彫刻が配置された静寂に満ちたフランス式庭園は歩くだけで癒され、ここが大都市パリであることを忘れさせてくれます。その中でも人気なのは日本でも有名な『考える人』の像です。他にも庭園には『地獄の門』や『カレーの市民（Les Bourgeois de Calais）』などが置かれています（『地獄の門』の複製は東京の西洋美術館にも展示されています）。庭の木陰でゆっくりとした時間を楽しんでみてはいかがでしょうか？

苦悩の愛を生きたカミーユに出会う

またロダン美術館にはロダンの弟子カミーユ・クローデル（1864-1943）の作品も展示されています。それらの作品はとても情熱的で繊細で、彼女のその後の運命を予見しているかのようです。彼女の愛を裏切ったロダンの作品と比べてみるのもいいかもしれません。そこには彫刻家として彼女が挑んだ純粋な情熱と師ロダンへの苦悩の愛、そして悲劇へと続く狂気の愛が垣間見えます。静かな館の中で彫刻と向き合い、彼らの人生に想いを馳せるもの素晴らしいパリ体験です。