パリの文化・歴史
パリの公共水飲み場
パリには公共の水飲み場「ヴァラス給水泉」があります。マイボトルを持って水を汲むことができ、熱中症対策やペットボトルのゴミ削減に役立っています。2023年よりパリ市が飲み場の場所をグーグルマップで公開中。パリの公共水飲み場
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夏のパリ散策に便利!パリの公共水飲み場「ヴァラス給水泉」
パリを歩いていると、鋳鉄製の緑色の像を見かけることがあります。女神像が支える屋根の中央から水が流れているのが見えます。パリに100以上あるこの噴水はヴァラスの泉(またはウォレスの泉)(Fontaine Wallace)と呼ばれ、モリス広告塔と並んでレトロなパリ名物の一つになっています。しかしこの噴水は単なる公共の装飾オブジェではなく、市民や観光客のための実用的な水飲み場。現在パリ市内にある無料の水飲み場の数はヴァラスの泉を含めて合計で約1,200あると言われています。今ではパリを歩く誰もが自由に水を飲むことができますが、その実現までには多くの苦難がありました。劣悪だった19世紀パリの水事情
さかのぼること100年以上前の19世紀後半、パリの水道事情はとても悪いものでした。上水道も完備されておらず、パリ市民は水売りが路上で売る水を買い、洗濯や炊事をしていたのです。しかも水売りの中にはセーヌ河の水を売る悪質な業者が多かったため、感染症などの病気の原因にもなっていました。そのような問題を受けて、パリ市は上水道の整備に力を入れ始めます。しかし各アパルトマンの家主が水道工事の負担を拒んだりしたため、工事は思うようにいきませんでした。イギリス人の篤志家が考えた「誰もが飲める安全な水」
そんな劣悪なパリの水事情の中で、解決策として考案されたのが街中に無料の水飲み場(給水泉)を作ることでした。その中でも芸術品コレクターであり篤志家であったイギリス人リチャード・ウォーレス(フランス読みでリシャール・ヴァラス / Richard Wallace)が1872年にパリ市に寄贈した公共水飲み場は、備え付けのコップで安全な水を飲むことができることで評判でした。この水飲み場は、普仏戦争敗北後の水不足を救い、また無料で水が飲めることで、飲料水の高騰から安いワインばかりを飲んでアルコール中毒になる人を未然に助けました。女神が支える給水泉
その水飲み場は芸術に関心の高かった寄贈者のヴァラス自身がデザインを考え、彫刻家シャルル・オーギュスト・ルブールによって装飾されました。ルネッサンス風の4人の女神像によって支えられ、女神はそれぞれ素朴・善意・質素・慈愛を表しています。今でもこのデザインの水飲み場はパリの各所に置かれ、寄贈者の名前をとってヴァラスの泉(Fontaine Wallace)と呼ばれています。パリ市内で無料で飲める貴重な水!パリ散策の際には一度試してみはいかがでしょうか(中身はアパルトマンと同じ水道水です)。2010年からは炭酸水も供給
また2010年からパリ市内には無料の「炭酸水飲み場」が設置され、パリ市民の休息の場として人気となっています。炭酸水はフランス人の間でよく飲まれていますが、その消費に伴うペットボトルのゴミ問題にパリ市は頭を悩ませていました。その解決策として作られたのが炭酸水飲み場で、最初の1号機はパリ12区のルイイ公園に完成しました。それ以来、炭酸水飲み場は増え、2018年6月には10号機が設置されました。パリ市によれば、パリ20区全ての区に炭酸水飲み場を設置する予定です。GoogleMapに記載された給水泉
2023年3月よりパリ市は、市内にある無料の水飲み場の場所をグーグルマップに記載。誰もがすぐにパリのどこに行けば水が飲めるかが分かるようにしました。マップ内に表示される無料の水飲み場にはヴァラス給水泉だけでなく公園や道路にある水飲み場も含まれています。今まではパリ市の水道を管理するオー・ド・パリ(Eau de Paris)のWebサイトにアクセスしないと見られない情報でしたが、グーグルマップに反映することで誰もが気軽に確認することができるようになりました。この施策には熱中症対策だけでなく、ペットボトルのゴミを削減する狙いも含まれています。パリの街を歩く際には、是非マイボトルを持って、ヴァラス給水泉で水を汲んでみてください。関連するパリの文化・歴史
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パリラマはパリを紹介する観光情報サイトです。パリの人気観光地からあまり知られていない穴場まで、パリのあらゆる場所の魅力を提供することを目的としています。情報は変更される場合があります。最新情報はそれぞれの公式サイト等でご確認ください。
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