パリの文化・歴史
パリの文化・社会・歴史:パリの公共水飲み場(ヴァラス給水泉)

パリの公共水飲み場

夏のパリ散策に便利!パリの公共水飲み場「ヴァラス給水泉」

パリの公共水飲み場

夏のパリ散策に便利!パリの公共水飲み場「ヴァラス給水泉」

パリを歩いていると、写真のような鋳鉄製の緑色の噴水を見たことがあると思います。パリに100以上あるこの噴水は「ヴァラス給水泉」(フォンテーヌ・ヴァラス)と呼ばれ、モリス広告塔と並んでパリ名物の一つになっています。でも、これは単なる公共の装飾オブジェではなく、市民のための実用的な「水飲み場」なのです。

さかのぼること100年以上前の19世紀後半、パリの水道事情はとても悪いものでした。上水道も完備されておらず、パリ市民は水売りが路上で売る水を買い、洗濯や炊事をしていたのです。しかしセーヌ河の水を売る悪質な業者が多く、パリ市は上水道の整備に力を入れ始めます。しかし各アパルトマンの家主が水道工事の負担を拒んだりしたため、工事は思うようにいきませんでした。そこで考案されたのが街中に無料の水飲み場(給水泉)を作ることでした。その中でも芸術品コレクターであり篤志家であったイギリス人リチャード・ウォーレス(フランス読みでリシャール・ヴァラス / Richard Wallace)が1872年にパリ市に寄贈した公共水飲み場は、備え付けのコップで安全な水を飲むことができることで評判でした。この水飲み場は、普仏戦争敗北後の水不足を救い、また無料で水が飲めることで、飲料水の高騰から安いワインばかりを飲んでアル中になる人を未然に助けました。

芸術に関心の高かった寄贈者のヴァラス自身がデザインを考え、彫刻家シャルル・オーギュスト・ルブールによって装飾されたこの水飲み場は、ルネッサンス風の4人の女神像によって支えられ、女神はそれぞれ素朴・善意・質素・慈愛を表しています。今でもこのデザインの水飲み場はパリの各所に置かれ、寄贈者の名前をとって「ヴァラス給水泉」(Fontaine Wallace)と呼ばれています。パリ市内で無料で飲める貴重な水!パリ散策の際には一度試してみはいかがでしょうか(中身はアパルトマンと同じ水道水です)。

また2010年からパリ市内には無料の「炭酸水飲み場」が設置され、パリ市民の休息の場として人気となっています。炭酸水はフランス人の間でよく飲まれていますが、その消費に伴うペットボトルのゴミ問題にパリ市は頭を悩ませていました。その解決策として作られたのが炭酸水飲み場で、最初の1号機はパリ12区のルイイ公園に完成しました。それ以来、炭酸水飲み場は増え、2018年6月には10号機が設置されました。パリ市によれば、2020年までにパリ20区全ての区に炭酸水飲み場を設置する予定です。次回のパリ旅行では街中で炭酸水を汲んで、爽やかで経済的な休息をとってみてはいかがでしょうか。

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