パリの観光スポット
パリ観光地:パサージュ・ジュフロワ

パサージュ・ジュフロワ
Passage Jouffroy

グラン・ブールヴァールの中心だったレトロで活気にあふれたパサージュ   
パリ観光地:パサージュ・ジュフロワ
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パサージュ・ジュフロワ

最終更新日:

シュールレアリストにも愛されたレトロなパサージュ

かつてパリ一の繁栄を誇ったブールヴァール周辺。その一つであるモンマルトル大通りに19世紀から営業を続けているパサージュ(アーケード付商店街)があります。パサージュ・ジュフロワは、まさに最初に訪れるのに最適なパサージュです。人を寄せ付けない過度な美しさもなく、また廃墟愛好家をぞくぞくさせるほど寂れているわけでもないので、パリに初めて来た人でも入りやすいパサージュになっています。オペラ座からは徒歩15分程度の場所にあります。子どものときの夢が実現したかのようなおもちゃ屋や雑貨店、素敵なサロン・ド・テ(喫茶室)、蝋人形館などがあり、散策に最適なスポットです。

ホテルを貫通させて作られた老舗の商店街

パサージュ・ジュフロワは1847年に開通した、比較的新しいパサージュです。といっても150年以上の歴史があるのですから、日本でいえば江戸時代から続く老舗の商店街といえるでしょう。また長い時を経ながらもブールヴァールが栄えていた創業当時の雰囲気を残すパサージュの一つといえます。入口の一つであるモンマルトル大通りの向かいにはパサージュ・デ・パノラマがあり、このパサージュの延長として設計されたことが分かります(また同時期にはもう一つの出口の続きにパサージュ・ヴェルドーというパサージュも完成しています)。かつてパサージュ・ジュフロワの土地にはトルコ大使館があったそうです。その後建物は壊されて巨大なホテルとなり、パサージュ・ジュフロワはそのホテルの入口を貫通する形で作られました(写真の右側部分にホテルの名前が書かれているのが見えます)。

階段と折れ曲がった通路が魅力

しかしその土地は直線的な設計ができずに、クランク上に折れ曲がる形をしていたため、パサージュは他のパサージュにはない二度折れ曲がった不思議な通路となります。しかしその折れ曲がりがパサージュ・ジュフロワを終わりの見えない(パサージュ内に突き当たりがある)不思議な抜け道にしました。曲がり角や階段のあるパサージュは散策者に人気となり、安価なレストランが3軒あることも幸いして、大変な賑わいを見せました。当時はまさに人々の波をかきわけないと前へ進めないほどの混雑ぶりだったそうです。その混雑ぶりは1867年のパリ万博の際に出版されたパリの盛り場を紹介したアルフレッド・デルヴォーによる本『パリの歓楽 挿絵入り実践ガイド』に描かれています。

鉄とガラスを多用した新しいパサージュ

独特の形をしたパサージュ・ジュフロワですが、他にも特徴があります。それはガラスと鉄をたくさん使ったことでした。パサージュ・ジュフロワが建設された頃には建築資材が発達し、ガラス屋根を支える骨組みに鉄を使えるようになりました。そのため、従来の切妻屋根ではなく、丸みのある当時としては斬新なフォルムができあがりました。その屋根のおかげで光が入り、幅の広い通りは散策者にとって快適な散歩道となりました。またパサージュで初めて暖房設備を取り入れ(地下に19世紀の暖房施設があるそうです)、凍えるほど寒いパリの冬でも暖かな散策を楽しむことができました。

大衆レストランや人形劇場があった

当時のパサージュ・ジュフロワにはどんなお店があったのでしょうか。安物の小物を売る「バザール・ユーロペアン」、その地下にあったダンスホール「バル・モンマルトル」、大衆レストラン「ディネ・ド・パリ」などがありました。「バル・モンマルトル」はその後マリオネットを見せる小劇場となり、1873年からは「テアトル・ミニアチュール」という子供向けの人形劇を上演する劇場になり、その後カフェ・コンセール(ショーのあるカフェ)が入り1950年頃まで営業していました。当時の雰囲気を味わってみたい方はフォーブール・モンマルトル通り側の入り口にあるシャルティエ(Bouillon Chartier)がおすすめ。「ブイヨン」と呼ばれる昔の安食堂で、客がナイフやフォークを預けたという戸棚が今も残っています。

一番人気のグレヴァン蠟人形館は今も営業

パサージュ内のお店の中でも特に人気を博したのは、1882年から現在まで営業している「ミュゼ・グレヴァン」(Musee Grevin)です。ナダールと同時代に活躍したイラストレーターであるグレヴァンが作ったカリカチュア人形を展示した蝋人形館で、パサージュ・ジュフロワの名物となりました。この人気の要因には人形館の先駆けであるパサージュ・デ・パノラマの「ダンタノラマ」の成功がありました。「ミュゼ・グレヴァン」ではその後、小劇場を作って「光のパントマイム」を上映しましたが、これは映画が発明される前の映画というべき、画期的なアニメーションでした。ミュゼ・グレヴァンの入り口はモンマルトル大通りにあり、出口はパサージュの中にあるので、蝋人形館を出てきたときには、まるでパサージュに迷い込んでしまったかのような不思議な感覚を味わうことができます。

かつてのパリ万博を体験!
グレヴァン博物館には「幻想宮殿」という見世物があります。1900年開催のパリ万博で展示された「鏡の宮殿」が再現されており、19世紀当時のパリにタイムスリップする感覚を味わうことができます。

第一次世界大戦とともに衰退へ

人気を博したパサージュ・ジュフロワでしたが、その人気は第一次世界大戦とともに翳りを見せはじめます。つまりグランブールヴァールの衰退とともに、その人気も衰えていきました。戦後人の波はデパートへと変わっていきました。しかしパサージュから客足が遠のくと同時に、時代に取り残されたパサージュは別の魅力を帯び始めます。その退廃的で非現実的な空間となったパサージュにはアンドレ・ブルトンやルイ・アラゴンなどのシュールレアリストが訪れました。彼らが残したパサージュに描写を読むと、パサージュがどこか超現実世界への通路にも見え、どんなことでも起こりうる白昼夢の世界に入れるような気がしてきます。

現在のパサージュ

現在営業しているお店には、おもちゃのお店「パン・デピス」(35・37番地)、映画パンフレット専門店「シネドック」(45〜53番地)、万年筆専門店「セナック」(14番地)、老舗ブラッスリー「サロン・デ・ミロワール」(Le Salon des Miroirs)(13番地)、ケーキの美味しいサロン・ド・テ&パティスリー「トゥール・デ・デリス(La Tour des Delices)」または「ル・ヴァランタン(Le Valentin)」(30・32番地)、ステッキ専門店「スガ」(34番地)などがあります。またパサージュの曲がり角には「オテル・ショパン(Hotel Chopin)」というホテル(46番地)があり、パサージュの中に泊まるというパサージュ愛好家の夢をかなえてくれます。
パリ観光基本情報
パサージュ・ジュフロワ / Passage Jouffroy
パリの観光地
オープン:1847年
住所:Blvd MontmartreとRue de la Grange Bateliereの間
最寄メトロ:Grands Boulevards(グラン・ブールヴァール)、Richelieu Drouot(リシュリュー・ドゥルオ)
エリア:パリ9区
カテゴリ:パリの観光スポット
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パサージュ・ジュフロワへのアクセス(地図)
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