パサージュ・ヴェルドー
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文学的で知的なパサージュ
今回はパリの散策者の中でも、特に文学の香りが漂うパサージュ(アーケード付き商店街)をご案内します。活気あるパサージュ・ジュフロワを出ると、目の前にあるグランジュ=バトルリエール通りの向こうにもうひとつのパサージュが見えます。それがパサージュ・ヴェルドー。グラン・ブールヴァールに近い賑やかなパサージュ・ジュフロワと比べると、人通りも少なく心無し暗さを感じさせるパサージュです。他のパサージュに比べて廃墟的で、独特の寂れぐあいが特徴です。古書店や漫画専門の古本屋などのお店が多いせいか、パサージュを通るお客は知的な人が多い印象を受けます。19世紀のパリへの時間旅行としてはまさにうってつけの場所です。当初から人気のなかったパサージュ
パサージュ・ヴェルドーの開業は1846年。パサージュ・ジュフロワと同時期に同じ建築家(イポリット・デスタイユとロメン・ド・ブルジュ)によって作られました。そのため構造が似ていて、どちらのパサージュも骨組みは鉄骨で丸みを帯びたガラス屋根となっています(複雑な構造をしていたジュフロワのほうが数年遅れて開業したそうです)。名前の由来はレストランやホテルにシーツやテーブルクロスを貸し出す仕組みを作り出した実業家であるヴェルドー氏から。しかし19世紀当時の繁華街の中心グラン・ブールヴァールから少し離れていたせいもあり、パサージュ・ヴェルドーの人気は上がりませんでした。そのため、このパサージュは当時から人通りが少なく静かでした。しかし驚くべきことは、その寂れた風情は21世紀になった今でも続いているのです。そしてその廃墟のような佇まいは、現在パリのマニアックな散策者にとって格好の散歩道になっています。
古書店や古カメラを扱うお店が多い
パサージュ・ヴェルドーに入っているお店をご紹介します。6番地にある「ロラン・ビュレ(Librairie Roland Buret)」は昔からあるバンド・デシネ(BD=フランスの漫画)の専門書店で、BD収集家の店主がマニアックな本を集めて販売しています。最近では漫画の流行により、パリ市内に多くの漫画専門店(日本のマンガも含む)がありますが、このお店がパリで初めてオープンした漫画専門店。27番地にある「ファルフール」は古書収集家がよく通うマニア向けの古書店。そのほかに16番地には古いカメラを扱う「フォト・ヴェルドー(Photo Verdeau)」や26番地にある古い絵葉書やアンティークポスターの専門店「ラ・フランス・アンシエンヌ(La France Ancienne)」などがあります。「婦人たちの幸福」という意味を持つ「ル・ボナー・デ・ダム(Le Bonheur des Dames)」は刺繍のお店。様々な刺繍作品が額縁に入れて飾られていて、ゾラのデパート小説に出てくるような19世紀の雰囲気が漂っています。他にも古写真や版画などのお店が入り、レストラン「ル・ビストロ」ではパサージュのテラスで食事をとることもできます。どのお店もまるでパリのアンティークのような鈍い輝きをもち、現在も多くのフラヌール(パリ散策者)を引き付けています。- パリ観光基本情報
- パサージュ・ヴェルドー / Passage Verdeau
- パリの観光地
- オープン:1846年
- 住所:Rue de la Grange Bateliereとrue du Faubourg Montmartreの間
- 最寄メトロ:Grands Boulevards(グラン・ブールヴァール)
- エリア:パリ9区
- カテゴリ:パリの観光スポット
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パサージュ・ヴェルドーへのアクセス(地図)
パサージュ・ヴェルドーへのアクセス(地図)