パサージュ・デュ・グラン=セール
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サン=ドニ通りの美しいパサージュ
猥雑で怪しい雰囲気の漂うパリ2区のサン=ドニ通りを歩いていると、通り沿いに細長い不思議な空間が現れます。静寂に満ちた廊下が奥まで続き、その美しい石の床に高いガラス天井から入る光が美しく降り注いでいます。ここはパサージュ・デュ・グラン=セール。パリに残る貴重なパサージュ(19世紀のアーケード付き商店街)の一つです。リニューアルされたそのパサージュの歴史と内装をご案内します。高さ11メートル以上のモダンな設計
パサージュ・デュ・グラン=セールの詳しい歴史は分かっていません。1830年頃にオープンしたと推測され、その権利はドヴォー=モワソン銀行からアシスタンス・ピュブリックという慈善公的機関に委譲されました。幅は他のパサージュと比べて狭い(3メートル)ですが、天井の高さは11メートル以上あるのが特徴です。高いところにあるガラス天井から入る光が暗い谷間に注ぐかのように落ち、パサージュの内部を美しく照らしています。天井から地上までの吹き抜け空間を支える黒い鉄骨の装飾が繊細な切り絵のように美しく、猥雑なサン=ドニ地区の中心部とは思えない静かで耽美的な空間を作っています。ガラス天井の4階部分には両側を結ぶ歩廊が架けられているのも面白い造りです。もともとは巨大ホテルだった
なぜこのような巨大なパサージュが出来上がったのでしょう。もともとこの場所にオテルリ・グラン=セールという巨大ホテルがあったことに由来します。革命前からこの近くに大型乗合馬車会社の発着場があり、多くの人でにぎわっていたそうです。ホテルの骨組みを利用して造られたため、このように天井の高いパサージュが完成しました。ちなみにパサージュ・デュ・グラン=セールは「大鹿のパサージュ」という意味です。120年以上放置され、1991年にリニューアル
しかしそんな巨大空間のパサージュも多くの人が訪れたという記録は残っていません。当時のサン=ドニ地区はすでに繁栄の外にあり、19世紀半ばには大型乗合馬車も廃止されてしまいました。経営母体のアシスタンス・ピュブリックは転売する相手もなく、パサージュはただ放置されたまま120年以上の月日が流れました。 しかし1985年にようやく買い取り手を見つけ、1991年に原型に忠実な形で復元されました。リニューアルオープンされたパサージュ・デュ・グラン=セールは、ガラスを通して美しい光が降り注ぐ当時のままの姿をようやく取り戻しました。- パリ観光基本情報
- パサージュ・デュ・グラン=セール / Passage du Grand-Cerf
- パリの観光地
- オープン:1830年頃?
- 住所:サン=ドニ通りとデュスーヴ通りの間
- 最寄メトロ:Etienne Marcel(エティエンヌ・マルセル)
- エリア:パリ2区
- カテゴリ:パリの観光スポット
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パサージュ・デュ・グラン=セールへのアクセス(地図)
パサージュ・デュ・グラン=セールへのアクセス(地図)