プティ・パレ
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自然光が美しい!パリ万博で造られた美術展示場
シャンゼリゼ通りの東端をセーヌ河方面に向かって歩いていると、ひときわ目立つ壮麗な建物が向かい合って建っているのが見えます。グラン・パレとプティ・パレです。今回はそのうちのプティ・パレについてご案内します。ガラスと鉄を多用した19世紀当時の最先端建築
プティ・パレは1900年のパリ万国博覧会の際に美術展示場として建てられた建物です。向かい合うように立つグラン・パレやアレクサンドル3世橋と同時期に建てられ、1902年にパリ市立美術館となりました。常設展の他に定期的に特別展を開催しています。設計者はグラン・パレの設計総監督と同じシャルル・ジロー。イオニア式の列柱に装飾が施されたファサードには大きなガラス窓がいくつも並び、訪れた人に壮大でありながら開放的な印象を与えます。伝統的な石材に加えて当時の最先端素材であったガラスと鉄をふんだんに使った建築は、当時大変な評判を呼んだと言われています。21世紀に入って改装され、より開放的な美術体験が可能に
プティ・パレは2001年から2005年にかけて大幅な改装がなされました。この改装により、美術鑑賞の機能性を優先させるために閉塞的になっていたいくつかの箇所が修繕されました。修繕後は、大きなガラス窓を使ったエントランスから中庭が見えて開放的になりました。作品を入れるガラスケースも改良され、視線の遮りをできるだけなくす工夫がなされました。そのため美術館全体に自然光がたくさん入るようになり、人工の照明に頼らない鑑賞環境を実現しています。また内装に関しても展示室ごとのテーマに合わせた内装に変えることで、部屋を移動するたびに異なる雰囲気を味わうことができるようになっています。部屋によっては18世紀コレクターの邸宅に招かれたような親密な雰囲気の中で鑑賞できたり、真っ白な壁面で古代ギリシャ・ローマの彫像に向かい合ったりと、作品にじっくりと向かい合える体験ができます。
1900年当時の時代を反映したコレクションが充実
所蔵コレクションには古代美術品、イタリアおよびフランス・ルネサンス作品、フランドル絵画など、幅広い美術品を常設展示しています。特に充実しているのは19世紀末から20世紀初頭にデュテュイやテュックなどのコレクターによって寄贈されたもの。当時の美術収集家の趣向を知ることができて興味深いです。フランスの有名な芸術家としてはモーリス・ドゥニ、ドミニク・アングル、ウジェーヌ・ドラクロワ、ギュスターヴ・クールベ、クロード・モネなどの作品が収蔵されています。またレンブラントなどのオランダの画家の絵画も収蔵されています。プティ・パレの天井画は当時広く受け入れられていた画家であったアルベール・ベナール、フェルナン・コルモン、アンリ・ロール、ジョルジュ・ピカールなどによって制作されましたが、現代では天井画制作に携わったほとんどの画家が一般に知られていません。コレクションや室内装飾には19世紀末当時の趣向が強く反映されていたためです。そのため、絵画には印象派だけでなく当時の社交界の女性肖像画や伝統的な宗教画など、今では知られていない絵画を多く観ることができます。
そんな当時受け入れられていた美術品を観に行くのもプティ・パレの楽しみの一つです。中庭には1900年当時の雰囲気を残した快適なカフェレストランがあり、美術鑑賞の休憩にぴったりです。プティ・パレは見た目は重々しくても、実は非常に開放的で気軽に美術鑑賞することができる美術館。次回のパリ旅行の際に訪れてみてはいかがでしょうか。
- パリ観光基本情報
- プティ・パレ / Petit Palais
- パリの観光地(市立美術館)
- オープン(完成):1902年
- 住所:Avenue Winston Churchill 75008 Paris
- 最寄メトロ:シャンゼリゼ・クレマンソー(Champs-Elysees - Clemenceau)、コンコルド(Concorde)
- エリア:パリ8区
- カテゴリ:パリの観光スポット
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プティ・パレへのアクセス(地図)
プティ・パレへのアクセス(地図)