リュクサンブール公園
最終更新日:
パリジャンに愛されているパリ左岸のオアシス
リュクサンブール公園はパリ6区にある緑豊かな公園。総面積が22ヘクタールもあり、パリ最大級(市内では4番目)の広さを誇っています。パリ市民の憩いの場として知られ、幾何学的なフランス式庭園での日光浴や木陰や噴水での休憩のために多くのパリジャンが公園にやってきます。地元の住人たちには「リュコ」という愛称で呼ばれ、パリ左岸を代表する人気スポットです。パリ最大の公園は?
パリ最大の公園は19区にあるラ・ヴィレット公園(55ヘクタール)。2番目はルーヴル美術館に隣接したチュイルリー公園(22.5ヘクタール)、3番目はビュット・ショーモン公園(25ヘクタール)です。
リュクサンブール公園の歴史
リュクサンブール公園を歩くと目に入ってくるのは噴水の前に立つ荘厳な建物。ここはアンリ4世の后マリー・ド・メディシスのために建てられたリュクサンブール宮殿です。彼女はルネサンス期のフィレンツェを支配していた一族メディチ家から来た女性で、夫のアンリ4世が亡くなった悲しみを癒すために生地トスカーナを思い起こさせる宮殿の作成を命じました。リュクサンブール公園はその宮殿に付属する庭園だったのです。庭園の設計者は宮廷庭師ジャック・ボワソー。チュイルリー宮殿やベルサイユ宮殿の庭園を手掛けた庭師です。庭園が開園したのは1612年、宮殿が完成したのは1631年です。庭園は現在リュクサンブール公園として一般公開されています。宮殿は后が幼い頃に過ごしたフィレンツェのピッティ宮殿を偲ばせるもので、現在はフランス上院(元老院)の施設となっています。『三銃士』にも登場する公園
リュクサンブール公園は文学の中にも登場します。ルイ13世の時代が舞台の小説『三銃士』(アレクサンドル・デュマ作)では、公園の裏手で決死をかけた決闘が行われました。主人公ダルタニアンの住まいも公園の近くです。
園内には果樹園や養蜂所もあり
園内には昔から続く果樹園があり、とても自然豊か。実は宮殿が立つ前、ここには13世紀頃から続くシャルトゥル修道院があり、そこの修道士たちが果樹園で果物を育てていたそうです。その時代から受け継がれてきたリンゴと洋梨が今でもリュクサンブール公園で栽培されています。またリュクサンブール公園には養蜂場(Rucher du Luxembourg)もあります。歴史は古く、1856年に開かれたフランス最古の養蜂学校として知られています。ここでは養蜂技術を習得するための授業が開かれ、毎年70人から100人の養蜂家を育てているそうです。現在ある巣箱は25個で、150年前から使われている古いもの。蜂蜜は毎年収穫され、9月の第3週の週末にパリで販売されます。読書に最適な泉や美術館もあり
宮殿の東側には美しい装飾が施されたメディシスの泉(Fontaine des Medici)があり、養魚池として1630年ごろに造られました。現在は静けさを好む人にうってつけの読書スポットになっています。宮殿のオレンジ栽培温室(オランジュリー)を改造して19世紀末に作られたリュクサンブール美術館(Musee du Luxembourg)では、現在も芸術に関する特別展を行なっています。ちなみにリュクサンブールという名前は、この土地の所有者だったリュクサンブール公にちなんでおり、彼はドイツのルクセンブルク家の血筋でした。多くの芸術家たちを魅了した公園
パリ市民に人気のリュクサンブール公園は、パリに住んだ作家たちにも愛されました。19世紀には詩人のテオフィル・ゴーティエがこの公園を奇抜な服装で散歩し、20世紀にはシュルレアリスト作家のアンドレ・ブルトンがここで恋人と出会い作品の舞台にしました。『日はまた昇る』でパリのアメリカ人を描いたアーネスト・ヘミングウェイはこの公園の近くに住み、空腹の中でここを散歩しました。またニューヨークのシンボルともなっている自由の女神を作った彫刻家バルトルディはリュクサンブール公園のそばにアトリエを構えていました。公園内には1886年にニューヨークに贈った自由の女神の原型が置かれています。他にも園内には彫刻家ジュール・ダルーによって制作された画家ドラクロアの彫刻も展示されています。これはアポロンや栄光の女神たちがドラクロワの偉業を讃えている場面を表現したオマージュ作品になっています。公園の東はサン・ジュヌヴィエーヴの丘となっており、ヴィクトル・ユーゴーなどのフランスを代表する偉大な作家たちが眠るパンテオンを眺めることができます。100年以上も子供に人気の秘密
リュクサンブール公園は1世紀も前からパリの子供たちの遊び場になっています。子供時代にここで遊んで大人になったパリジャンは今も多いはず。パリ6区に住むブルジョワ階級の子供にとっては昔からの慣れ親しんだ遊び場で、彼らはここで砂遊びをしたりおもちゃのヨットを池に浮かばせたりします。パリジャンにとっては、懐かしい子供時代を偲ばせる場所でもあるんですね。中央にある円形の池では模型ヨットのレンタルが子供に大人気。模型のヨットを池に浮かばせ、専用の棒で操ります(たまにヨットが故障して池の真ん中で止まってしまうことがあるのはフランスならでは)。アメリカの作家ヘミングウェイもパリでの文学修行時代にここで息子を遊ばせました。他に操り人形劇で人気のリュクサンブール劇場(Theatre du Luxembourg)や、パリで最も古いといわれる木製のメリーゴーランドもあり、子供たちに好評です。メリーゴーランドは1879年からそこに置かれていて、動物のデザインはオペラ座を設計したシャルル・ガルニエです。回転しながら棒で輪をキャッチする昔ながらのゲームができるのはリュクサンブール公園のメリーゴーランドだけ。この輪取りゲームがメリーゴーランドという遊戯の始まりだとも言われています。観光時には子供時代を思い出しながら、メリーゴーランドを眺めてみてはいかがでしょうか。- パリ観光基本情報
- リュクサンブール公園 / Jardin du Luxembourg
- パリの観光地
- オープン(完成):1612年
- 住所:Jardin du Luxembourg, 75006 Paris
- 最寄メトロ:RER B線 Luxembourg(リュクサンブール)
- エリア::カルチェラタン
- カテゴリ:パリの観光スポット
- 関連:その他のおすすめパリ観光
リュクサンブール公園へのアクセス(地図)
リュクサンブール公園へのアクセス(地図)