森と湖と城のある優美な街
パリから北に50?ほど行ったところにあるシャンティイ(Chantilly)は森に囲まれた優雅な街。美しいシャンティイ城(Chateau de Chantilly)がある街として世界的に知られています。城の周囲は庭園、森、湖で囲まれ、街の中心部から歩いてアクセスすることができます。城内にはコンデ伯爵が所蔵する一流の美術品を展示したコンデ美術館(Musee Conde)が入っています。フランスのデザートに必ず添えられてきたバニラ風味の生クリーム「クレーム・シャンティイ」はこの町が発祥。シャンティイ競馬場があることでも有名です。優美な城を見にシャンティイへ出かけてみませんか?
パリからのアクセス
A1号線に入り、7番出口シュルヴィリエ・シャンティイSurvilliers-Chantillyを出る。パリ北部ポルト・ド・ラ・シャペルPorte de la Chapelleから出発する場合は、N16号線に入る
3万冊の蔵書と美しい絵画
シャンティイ城はフランス革命時に荒らされ、革命後も放置されていましたが、現在は大々的に修復され、その庭園と収蔵された絵画の美しさで多くの観光客が訪れています。城は互いにつながった2つの建物で構成されていて、それぞれプティ・シャトー(Petit Chateau)とグラン・シャトー(Grand Chateau)と呼ばれています。プティ・シャトーは軍人であり外交官であったアンヌ・ド・モンモランシー(1493-1567)のために1560年頃に建てられたもの。彼は歴代のフランス国王に仕えましたが、ユグノー戦争のときにプロテスタントと戦って命を落としました。ここの目玉は図書館(Cabinet des Livres)で、700もの写本と3万冊以上の蔵書が収められています。その中には世界的にも大変貴重な「グーテンベルクの聖書」や「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」の複製があります。入り口の左にある礼拝堂では、16世紀半ばの木工細工やステンドグラスの窓を見ることができます。グラン・シャトーはルネサンス様式の建物で、フランス革命期に完全に破壊されましたが、1875〜1885年にルイ・フィリップ国王の息子オーマール公によって再建されました。グラン・シャトー内部にはコンデ美術館があり、コンデ伯爵によって配置された家具や絵画、彫刻などが飾られています。ラファエロやフィリッポ・リッピ、ジャン・フーケなどの絵画などの最も注目すべき作品は、サンクチュエール(Sanctuaire)と呼ばれる部屋に展示されています。
美しい庭園と馬の厩舎を見学
長い間忘れ去られていた城の庭園は、かつてフランスで最も華やかな庭園の一つと言われていました。17世紀半ばにル・ノートルが造園したフランス式庭園では美しい花壇、湖、大運河を見ることができます。他にも1770年代に造られた田園風のイギリス・中国式庭園や1817年に造られた野性的なイギリス式庭園などがあります。散策におすすめなのが緑豊かな木々と水路に囲まれた村里(Hameau)。ここは当時の田舎の村を模して1774年に造られた場所で、水車や木骨造りの建物はヴェルサイユ宮殿にある「王妃の村里」の見本になったと言われています。この村里はフランス菓子に添えられるクレーム・シャンティイ(Creme Chantilly)発祥の地としても有名です。1719年から1740年にかけて建てられた大厩舎(Grande Ecurie)は有名なシャンティイ競馬場の隣にあり、30頭近くの馬が大切に育てられている「生きた馬の博物館」(Musee Vivant du Cheval)があります。31もある展示室には当時の馬具や馬のおもちゃ、競走馬の絵画などが展示されていて、馬の調教の実演も見学することができます。
ヨーロッパで有名になったホイップクリーム
今から約300年前、シャンティイ城は独自の村里を持っていました。そこには本格的な酪農場(latier)そこで城主の奥方や招待客が牛の乳しぼりを体験することができました。この村里で提供された新鮮なホイップクリーム(砂糖を入れて泡立てたクリーム)は18世紀のヨーロッパ貴族の間で話題になり、後の神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世は、1777年にお忍びでシャンティイ城の村里を訪れてこのクリームを味わいました。それは後にクレーム・シャンティイと呼ばれるようになり、この村里が発祥地として有名になったそうです。現在は街のカフェでクレーム・シャンティイを誰もが体験することができます。シャンティイを訪れたら是非この甘く白いクリームを味わってみてください。
シャンティイの庭園
国王の狩り場だった森へ
城の南側に広がるシャンティイの森(Foret de Chantilly)はかつてフランス王の狩り場でした。森の中にはたくさんの散策道や乗馬道があり、森を抜ける通り道になっています。道は様々な方向に伸びていて、サンリス(Senlis)やリュザルシュ(Luzarches)、エルムノンヴィル(Ermenonville)、アラットの森(Foret d'Halatte)などに続いています。森は広いのでマウンテンバイクをレンタルして散策するのもいいですね。観光案内所でマウンテンバイク用の観光ガイドを手に入れることができます。
シャンティイからさらに足を伸ばして
シャンティイの北東10kmのところにあるサンリス(Senlis)は中世の面影が残る魅力的な街。曲がりくねった石畳、ガリア時代の城壁、尖塔など、街を散策すれば中世の雰囲気を楽しむことができます。クロヴィス1世の時代からアンリ4世の時代まで王宮があったことで知られ、12世紀に建てられた歴史的価値の高いノートルダム大聖堂があります。大聖堂以外にも見どころは多く、美術・考古学博物館(Musee d'Art et d'Archeologie)、狩猟博物館(Musee de la Venerie)などの博物館があります。散歩が好きな方にオススメの町なので、時間に余裕のある方は是非立ち寄ってみてください。
ドライブで立ち寄りたいシャンティイの観光スポット
- シャンティイ城(Chateau de Chantilly)
- シャンティイ市のシンボルとなっているルネサンス時代の城。2つの建物から成っている
- 生きた馬の博物館(Musee Vivant du Cheval)
- 馬の養育と競争馬に関する展示が行われている博物館。大厩舎内にあり、馬の調教風景を見ることができる
- 住所:Grand Ecurie, rue du Connetable, Chantilly
パリからシャンティイへのアクセス
- 距離と所要時間:約60km / 約1時間
- 経由地:-
- エリア:パリ近郊
パリからシャンティイへのドライブルート(地図)
パリからシャンティイへのドライブルート(地図)