サン・ジャック通り
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学生街カルチェラタンの入り口
ノートルダム大聖堂の前の道を歩いてセーヌ左岸に渡ると、なだらかな上り坂になっています。ここはパリの学生街カルチェラタンの入り口であるサン・ジャック通り。写真左手に見えるトルコ石の色をした塔は、世界的に有名なソルボンヌ大学(パリ第4大学)。パリ有数の進学校も集まり、サン・ジャック通りの周辺にはアカデミックな雰囲気が漂っています。通りを下った先(写真中央)には、セーヌ対岸にあるサン・ジャックの塔が見えています。サント=ジュヌヴィエーブの丘にあるパンテオンもすぐ近くです。古代のパリの大通りだった
サン・ジャック通りはかつてパリの古代都市ルテティアのメインストリートでした。パリがローマ帝国に支配されていた頃、パリはルテティアと呼ばれローマ風の都市でした。そのときのカルド・マクシムス(大きな軸=主要道路)が、現在のサン・ジャック通りになっています。その通りはセーヌを渡ってシテ島に入り、右岸のサン・マルタン通りまで続いていました。約2000年前の当時、まだパリは小さな町で、円形闘技場やフォーロム(広場)、ローマ風の公共浴場などがありました。静かな名所、サン・セヴラン教会
セーヌ川からサン・ジャック通りに入ってすぐ右手に、ひっそりと佇む教会があります。サン・セヴラン教会はフランボワイアン形式(炎を模った装飾が特徴の15〜16世紀の後期フランス・ゴシック様式)を代表する建築物で、手前に見える尖った小さな屋根が並んでいる静かな回廊は、活気あふれるパリ中心部に瞑想の場を提供しています。街中で優れた宗教芸術を見ることができるのはパリならではの特権。散策に疲れた方は是非訪れてみてください。スペイン巡礼への出発地
またサン・ジャック通りは巡礼者にとって重要な場所でした。かつてこの通りはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の起点となっており、フランスからスペインに通じる「サン・ジャックの道」(le chemin de Saint-Jacques)として知られています。サンティアゴ・デ・コンポステーラはローマ、エルサレムと並ぶキリスト教三大巡礼地の一つ。フランスの巡礼者たちはサン・ジャック通りからパリを出てピレネー山脈を越え、遥か先の聖地へと向かいました。この道がスペインまで続いているかと思うと、ロマンをかき立てられますね。ソルボンヌ大学など名門教育機関が集まる
サン・ジャック通りには数多くの教育機関が集まっています。有名なものとしてはソルボンヌ大学(Sorbonne)、リセ・ルイ=ル=グラン(Lycee Louis-le-Grand)、コレージュ・ド・フランス(College de France)などがあります。ソルボンヌ大学はパリ大学の一部(第1〜第4)で、1253年に神学校として発足したフランス最古の大学です。1275年にフランスの神学者ロベール・ド・ソルボンが神学部学生用の寮を開設したのが始まりともされています。この時代、学生たちはラテン語のみを話していたため、この界隈をカルチェラタン(ラテン地区)と呼ぶようになりました。リセ・ルイ=ル=グランは1563年に設立された歴史ある高等教育機関で、現在は進学校としてエリート教育の主導的な役割を担っています。この学校から卒業した生徒の中には後に偉大な政治家や作家になった人が多くいました。ヴィクトル・ユーゴー、モリエール、ヴォルテールもこの学校の卒業生です。コレージュ・ド・フランスはラテン語、ギリシア語、ヘブライ語の3つの言葉を教える目的で設立された研究機関。権威的なパリ大学に対抗して自由な学問の場としてフランソワ一世によって創設された王立教授団に由来します。現在ではフランスの学問の頂点に位置する国立の高等教育機関で、そこで開かれる講座は一般の人も受講可能です。ソルボンヌ大学とコレージュ・ド・フランスはサン・ジャック通りを挟んで向かい合っており、ソルボンヌの正面入り口は反対側のサン・ミシェル通りに面しています。関連するパリ観光
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