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ノートルダム大聖堂周辺を歩く
シテ島の観光地や中世の面影が残る小径を巡る
散策の出発はメトロ4番線のシテ駅から。シテ駅は
シテ島にある唯一の駅で、パリ発祥の地シテ島の散策に便利です。まずは歩いてすぐのところにある
ノートルダム大聖堂へ。シテ島に建つ有名な大聖堂で、1163年に建造が始まり200年の歳月をかけて1345年(1350年)に完成しました。2019年の火事で尖塔を含む聖堂の一部が消失してしまいましたが、現在復旧に向けた工事が行われています。大聖堂のファサード左側部分を歩くと閑静なエリアがあります。ここはかつて大司教座の領地だったところで、周囲から柵で囲まれた静かな地区でした。その領地の中にひっそりと佇んでいる
シャントル通り(Rue des Chantres)は、中世パリの面影を残す数少ない通りの一つです。日の差さない狭い通りを歩けば、中世の世界に入り込んだような気分に。
コンシェルジュリー
ルイ16世やマリー・アントワネットが幽閉されていた宮殿へ
シャントル通りを抜けてセーヌ川沿いのコルス河岸を歩くと、見えてくるのは
コンシェルジュリー。パリのセーヌ川の風景を彩る一際美しいゴシック様式の建物で、元々中世の宮殿でした(10〜14世紀頃)。現在パリに残るフランス王家初代の栄光を偲ばす貴重な建築物になっています。テンプル騎士団を弾圧した冷酷な国王フィリップ4世の宮殿として建てられましたが、14世紀後半シャルル5世が王宮を去った後には牢獄として使われるようになりました。フランス革命の際にはマリー・アントワネットを始めとして革命の敵とみなされた人々が収容され、「死の牢獄」と呼ばれるように。ここでもう一つ見たいのは、コンシェルジュリーの壁に埋め込まれた装飾の美しい巨大な時計。パリで初めて設置された公共の時計で、14世紀にシャルル5世によって造られました。この近くの河岸がオルロージュ(時計)と呼ばれるのも、この時計に由来します。続いてステンドグラスで有名なサン・シャペルを訪れます。13世紀に建てられた壮麗なゴシック様式の礼拝堂で、堂内では聖書の物語が描かれた美しいステンドグラスを見てみましょう。2階部分にある5色・1113枚から成るステンドグラスは息をのむ美しさで「パリの宝石箱」と呼ばれています。ここにはルイ9世が十字軍遠征時に手に入れたイエス・キリストの貴重な聖遺物が安置されています。ステンドグラスの窓は日が昇る東向きに造られ、太陽の位置の変化でその色調は変化します。ステンドグラスを見た後はセーヌ川沿いのオルロージュ河岸通り(Quai de l'Horloge)を歩いてシテ島の西側部分へ。オルロージュ河岸通りには点灯夫がいた時代に設置された古い外灯も残っています。
シテ島の最西端、ヴェール・ギャラン公園へ
パリ最古の橋ポン・ヌフからシテ島の先端へ
次に見えてくるのはパリで最も有名な橋
ポン・ヌフ。シテ島の西側先端にかかる石造りのアーチ橋です。名前は「新しい橋」という意味ですが、1606年にアンリ4世によって造られたパリでもっとも古い橋です。ポンヌフが造られるまでパリの橋は木造でした。石で造られた初めての橋だったため、「新しい橋」という意味のポン・ヌフになったと言われています。また橋の上に住居のない初めての橋でもありました。橋の右岸側には現在修復中(2021年開業予定)の老舗デパートである
ラ・サマリテーヌと
ルーヴル美術館が見えます。橋の向こう側にはセーヌを背にして
アンリ4世の像があり、そこからセーヌ川付近に石の階段を使って下りることができます。
アンリ4世の像(ポン・ヌフ)
橋の下はまるで別世界。辺りは緑にあふれ、橋の側面に取り付けられたたくさんのマスカロン(怪物の仮面彫刻)がよく見えます。橋の下のエリア全体は
ヴェール・ギャラン公園です。愛人の多くいたフランス国王アンリ4世のあだ名(ヴェール・ギャランは「好色なお爺さん」の意味)がそのまま公園の名前になっています。船の甲板のような細長い公園には緑やベンチもあり、一番先端には柳の木が垂れています。公園の先はセーヌの下流となっています。ここから眺めるセーヌ河畔の風景は、セーヌ河の美しい風景の中でも特に素晴らしいもので、左手には黒と黄金のドームを備えたフランス学士院が、右手には壮大なルーヴル美術館が見えます。セーヌの流れを眺めながら沈みゆく西日を眺める時間は、パリ観光の中でも格別なひとときといえるでしょう。
ドフィーヌ広場を歩く
王太子のために作られたパリ最古の広場を訪れる
公園で休んだ後は再び階段を上がり、ポン・ヌフを渡って17世紀の古い建物の間の小径を入っていきます。建物の間を抜けるとそこは
ドフィーヌ広場。辺りは急に静かになり、観光地の中心にいるとは思えないほどの静寂に包まれます。パリの秘密の場所のようなドフィーヌ広場は1607年に建設されたパリ最古の広場。当時6歳だった王太子(のちのルイ13世)の名誉のために国王アンリ4世が作りました。
ペタンクをする人々(ドフィーヌ広場)
静かで少し謎めいたこのロマンティックな広場は、シュルレアリスムの作家アンドレ・ブルトン(Andre Breton / 1896-1966)の小説『溶ける魚』(Poisson soluble)と『ナジャ』(Nadja)にも登場します。また俳優・シャンソン歌手で有名なイヴ・モンタンが住んでいたことでも知られています。広場にはテイクアウトも可能なフランス料理店やクレープ店があり、休憩にもぴったり。のどかで静かな広場ではペタンクをやっている地元のパリジャンもよく見かけます。広場の先には元宮殿だった裁判所(Palais de Justice de Paris)があり、その向こうにはノートルダム寺院の四角い2つの塔が見えます。ドフィーヌ広場を抜けたら再びメトロのシテ駅へ。シテ島の駅前には植物が置かれた素晴らしい花市場(Marche aux fleurs Reine Elizabeth II)がありますので、帰りにそこを見て癒されて帰るのもいいですね。