パリを美しくする十字路
ルーヴルと凱旋門を結ぶ有名な広場。パリの広場といってここを思い浮かべる人が多いかもしれません。ルイ15世の時代に造られた「パリ最後の国王広場」で、1775年に建築家アンジュ=ジャック・ガブリエルの設計によって完成しました。現在では交通の要所となっているこの広場も、建設当時はパリの端で、西側には後にシャンゼリゼ大通りとなるただの野原(エリゼの野)が広がっていました。中央には現在ナポレオンがエジプト遠征のときに戦利品として持ち帰ったオベリスク(クレオパトラの針)が建っています。当初はルイ15世広場と呼ばれ、ルイ15世紀の騎馬像が建っていました。革命期には革命広場と名を変えてルイ16世やマリー・アントワネットの処刑も行われた歴史的な場所でもあります。国王の権力を誇示するために造られたコンコルド広場で国王がギロチンにかけられたことは、フランス革命を象徴する皮肉な出来事です。
この広場に立つと、他の広場とは決定的に異なるあることに気づきます。それはこの広場が建物に囲まれていないこと。東には
チュイルリー公園と
ルーヴル美術館があり、西には
シャン・ゼリゼ大通りが伸びています。大通りの先の緩やかな丘の上には凱旋門が見え、透視図法の美しい風景を見ることができます。そして北に目を向ければ
マドレーヌ寺院、南にはコンコルド橋のかかるセーヌ川越しに
国民議会(ブルボン宮)が見えます。これほど開放的な空間をもった広場は他になく、パリにいることを一番実感できる場所かもしれません。東西南北にパリの主要な建造物があるこの広場は、まさにパリの黄金ルートの「交差点」といえるでしょう。昼間は交通量が多く単に疲れるだけの広場ですが、夜になるとその美しさは格別で、パリの夜で一番美しい眺めとさえ言われています。パリの偉大な都市計画を実感したい方は、是非この広場を訪れてみてください。